ホームレスの「空き缶ビジネス」を体験してみた!ショッキングな結果に…村田らむレポート

 しかもそのまま集めていけばいいというわけではなかった。持参したゴミ袋はすぐに空き缶でパンパンになってしまった。

 まわりに人がいない公園に行って、一つ一つ踏みつけて潰していく。すぐに足が痛くなった。そうしてそれをまた袋詰めしてまた歩きはじめる。

 とにかくひたすら歩くしかないのだ。

 ゴールはアルミ缶の回収をしている上野公園だった。池袋から上野公園は直線では7.1キロだから、普通にてくてく歩けば1時間半くらいで到着する。

 ただ、空き缶を集めながら、時に空き缶を潰しながら歩くとずっと時間がかかった。

 結局、13時間歩いた。上野公園についた頃にはもうヘトヘトだった。ビニール袋一杯の空き缶は溜まっていた。やっとの思いで換金すると、たった500円にしかならなかった。

 ショックでそのままひざまずきそうになってしまった。時給50円以下である。

 もちろん、毎日のようにアルミ缶回収をしている人は、より効率は上がる。マンションなどの管理人と仲良くなり(金品を渡し)、マンションから出る空き缶を全部もらうことができればかなりの額になる(と言ってもたかがしれているのだが)。かなり上手く稼いでいる人で3000円程度だという。

 よく、ホームレスに対して

「あいつらは働かずにダラダラと寝やがって!! 腹が立つ!!」

 と怒っている人がいるが、実際には働いている人が多い。しかもこんなにも儲からない仕事なのである。

 空き缶を買い取ってもらった後、靴を見てみるとずいぶんヘタっていた。歩いたのと、缶を踏んだので、傷ついていたし、飲み残しがかかって汚れていた。

 たった一日でこんなにボロくなってしまうのだったら、すぐに靴はダメになってしまうだろうなあと思った。

 ホームレスの皆さんが、より良い靴を手に入れることができますように、と祈りつつ、今回のルポを終わりにしたいと思う。

文=村田らむ

ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)など。

Twitter:@rumrumrumrum

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