大分県に超ヤバイ「怪老」が存在すると発覚! 公安にマークされるレベルのアブナイ奇書「ムジカ」を出版…邪馬台国の謎も!?

――どのあたりがヤバいのでしょうか。

(神ノ國ヲ) ええ、まず神原氏は著書のチラシにおいて「国民募集中」「国創りの旗を建てて頂きますよう」と記してあります。国家公安委員会に監視され、刑法第2編第2章「内乱に関する罪」に抵触してもおかしくない文言です。思想家としては、この程度は織り込み済みなのかもしれませんが、驚きました。

 加えて『よみがえるムジカの国の物語』の装丁には鬼気迫るものを感じます。氏いわく、本書は「名刺代わりの雑文ですが、手作り雑誌の見本版」として頒布されています。この本の存在感たるや、内容とともに空間をバグらせる勢いを感じますね。

――そもそも佐伯市とはどんなところなのでしょう?

(神ノ國ヲ) 言うまでもなく九州全体がそうであるように、実は「佐伯」もまた存外に古い土地です。たとえば、佐伯市の大入島(おおにゅうじま)という、のどかな観光地があります。こちらは神武天皇が東征の途中で立ち寄り、清水を湧かせた「神の井」があります。また、神武天皇の航海を安全祈願した焚火にちなむ「トンド」では「神の井」から「神の火」を灯して正月を祝うのです。近現代にいたると、1893年には文豪・国木田独歩が10か月ですが滞在しています。1911年には、皇太子時代の大正天皇が海軍大演習に際して上陸し、駐蹕記念碑が建てられていますね。

 また太平洋戦争中は、ハワイ真珠湾攻撃の訓練地として選ばれ、呉鎮守府へいたる豊後水道防衛の要として爆撃機が配備されていました。いまでも「零式艦上戦闘機」を格納していたコンクリート製の掩体壕(えんたいごう)が国の有形文化財として残っています。

 これは余談ですが、大入島で釣れるスズキやメジナは、本当にうまいですよ。釣れたその場でさばいてネギを散らして醤油とわさびを垂らし、一口でかじるんです。海の香りと出汁の味わいが口の中にふわっと広がるんです。

 このような歴史と海の幸の味わい深い「佐伯」という土地から、現代日本を別角度で見つめて時代を問う、かくも香ばしい思想が登場するのは、何かしらの必然を感じざるを得ません。

 2020年1月には、中国の研究者が大分県「ダンワラ古墳出土」と伝わる国重要文化財「金銀錯嵌珠龍文鉄鏡(きんぎんさくがんしゅりゅうもんてっきょう)」を邪馬台国の女王・卑弥呼の「銅鏡百枚」の一枚である可能性が高いと指摘しています。もしかすると邪馬台国が大分県にあったというのも、あながち……かもしれませんね。

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文=神ノ國ヲ

学術論文からオカルト記事まで。
京都大学の博士課程に所属中。
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