「我々がシミュレーション世界にいる可能性は50%」物理学者が算出!! 宇宙線の方向が… “この世のエラー”に気付く方法も
だが、計算能力が有限だとしたらどうだろうか? メリーランド大学の物理学者Zohreh Davoudi氏は、有限の計算資源でシミュレーションを行うと、そうした痕跡が残る可能性があると指摘している。有限の計算能力の下では、時空を連続的ではなく離散的にシミュレートする必要があるとDavoudi氏は言う。そうした離散的な時空では、高エネルギー宇宙線が届く方向に痕跡が現れるそうだ。回転対称性が破れにより、宇宙線は空間の中で優先的に動く方向を持つというのである。現時点では回転対称性の破れは観測されておらず、痕跡は見つかっていないが、Davoudi氏によると、たとえそのようなものが観測されたとしても、直ちにわれわれの世界がシミュレーションだと結論することはできないと念を押している。
さらに、ベイズ確率からシミュレーション仮説を検証したキッピング氏は、「オッカムの剃刀」の観点から、シミュレーション仮説は支持できないとしている。
「シミュレーション仮説は過度に複雑に入り組んだモデルです。シンプルで自然な説明に比べて、オッカムの剃刀から真に疎んじられるべきものでしょう」(キッピング氏)
シミュレーション仮説の是非は今後も長く議論されていくことと思われるが、哲学者と物理学者の“温度差”は今後縮まることはあるのだろうか? 哲学者であるボストロム氏は、論理的に可能であるかどうかという形式に焦点を当てているのに対し、物理学者は現実的に可能であるかどうかという事実に焦点を当てている。事実の点からボストロム氏に何を言おうとも、言葉は空転するばかりである。今後、シミュレーション仮説がより実り豊かな議論に熟成していくことを心から願いたい。
参考:「Scientific American」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「我々がシミュレーション世界にいる可能性は50%」物理学者が算出!! 宇宙線の方向が… “この世のエラー”に気付く方法ものページです。物理学、シミュレーション仮説、哲学、ニック・ボストロム、ベイズ確率などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで