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あの「the原爆オナニーズ」がまさかの映画化！名古屋の誰もがダイブする？伝説のパンクを追った『JUST ANOTHER』大石規湖監督インタビュー前編

2020.10.30 16:00 文・取材＝須藤輝／@sdohkr

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■パンクを知らない人もモッシュ＆ダイブ

−−名古屋で、つまりローカルなシーンでバンドをやるということも、この映画におけるテーマの一つですよね。

大石　例えば私は岡山のロンリーが大好きなんですけど、岡山にロンリーを撮りに行ったとき、岡山の空気とか時間の流れ方が本当にロンリーの曲そのものだったんですよ。そういうふうに、その土地でしか生まれ得ない音楽というものがあって、それは名古屋も例外ではないと思います。私は名古屋を拠点に活動しているバンドもすごく好きで。MILKとかNICE VIEWとかTHE ACT WE ACTとか。

−−KillerpassとかSOCIAL PORKSとか。

大石　のうしんとうとか、あと豊田ですけどTURTLE ISLANDも好きですね。私が静岡出身なのもあって、なんとなく隣県である愛知のバンドに親近感を覚えてしまうのかも。一方で名古屋って、東京や大阪に比べて特徴がないとか中途半端とかよく言われますけど、私としては行くたびにアクの強さみたいなものをすごく感じるんですよね。それがすべて今池まつりに濃縮されているのを見てしまったので、この土地で育ったバンドの面白さというものが絶対にあるなと。

−−今池まつりは、映画でも象徴的に描かれていますね。

大石　今池まつりは本当に、映画をご覧になってちょっとでも気になったらぜひ一度は体験してもらいたいんです。町の至るところでライブもやってるし、あと大道芸とかプロレスとか結婚式とか……。

−−結婚式もやってるんですか？

大石　やってるんですよ、プロレスリングの上で（笑）。だから通りすがりの見ず知らずの人も新郎新婦を見て「おめでとう！」と祝福していたり。そういうなんでも受け入れちゃう感じも含めて、こんな空気は他所にはないなと。

−−その今池まつりでのthe原爆オナニーズのライブ映像、すごくいいですよね。まずステージにいるメンバーが普段着のおじさんで、それを観て騒いでいる人たちも別にパンクスではないし。

大石　そうそう。老若男女が入り乱れて、パンクなんか知らない人もモッシュやダイブをして熱狂している。それが普通のこととして毎年行われているんですよ。今池まつりというお祭りの中で、パンクバンドのライブも大道芸もプロレスも結婚式も全部フラットに並べられているというか、だからこそカオスな空間で、そこでは偏見や先入観といったものが微塵も感じられないんですね。それってすごくパンクっぽいと思うし、なにより生活の中に音楽が溶け込んでいるのを目の当たりにして、私も衝撃を受けました。

（つづく）

■『JUST ANOTHER』

●公式ホームページ https://genbaku-film.com/

10/24(土)～｜東京・新宿K’s cinema

10/31(土)～｜愛知・名古屋シネマテーク

11/20(金)～11/26(木)｜宮城・チネ・ラヴィータ

11/27(金)～｜大阪・シネマート心斎橋

12/1(火)～12/7(月)｜広島・横川シネマ

12/4(金)～｜長野・アイシティシネマ

12/11(金)～｜京都・出町座

上映決定｜神奈川・横浜シネマ・ジャック＆ベティ

以降全国順次公開

■大石規湖（おおいし・のりこ）

フリーランスの映像作家として、SPACE SHOWER TVやVICE japan、MTVなどの音楽番組に携わる。トクマルシューゴ、DEERHOOF、DEATHRO、怒髪天など数多くのアーティストのライブDVDやミュージックビデオを制作。独自の視点で切り取られたライブ映像、特にワンカメでのライブシューティングには定評があり、音楽に関わる作品を作り続けている。映画では『kocorono』（2010年・川口潤監督）で監督補助を担当。さらにLess Than TVを追ったドキュメンタリー映画『MOTHER FUCKER』（2017年）で映画監督デビューを果たし、本作『JUST ANOTHER』は劇場公開2作品目となる。