【実録・コロナ怪談!】14日間隔離されたホテルの部屋が「いわくつき」だった件! 毎晩襲いかかる怪奇現象がエスカレートし…

―隔離4日目―水を流す音

 最初の3日は何事もなく過ぎていった。実際ネットさえあれば、映画、ゲーム、SNSなど暇つぶしに事欠くこともなく、家族や友達とも簡単に連絡が取れる世の中だ。これは2週間なんて案外あっという間かもしれないな、と思い始めていた4日目の晩、彼はある異変に気づくこととなった。

 その異変とは「トイレの水を流す音」だった。といっても、その音は初日から耳にしていたのだが、薄い壁のせいで、近くの部屋から漏れ聞こえているものと疑いもしていなかったのだ。しかしその晩に突如聞こえてきた音は、まるで自分の部屋のトイレから聞こえてきたと思えるぐらい大きなものだった。少し気になりながらも、真隣の部屋に新しく人が入ってきたのだろうと考え、そろそろ寝ようと思った時だった。今度ははっきりと、「自分の部屋のトイレ」から水を流す音が聞こえてきた。

 驚いて飛び起き、トイレのドアを開けた彼の目の前で渦を巻いた水が便器に吸い込まれていくのが見えた。これは一体どういうことなのだろう。嫌な考えが頭に浮かびそうになったが、「いや、単なる故障だ」と自分を言い聞かせることで、その夜はなんとか眠りについたのだった。

 

―隔離5日目―クローゼットの怪異

 その日、彼は陰鬱な気持ちで過ごしていた。昨晩の出来事もあってなんだか不気味に思えてきたこの部屋で、あと10日も一人で過ごさなくてはならないのだ。そして再び夜がやってきた。早く眠りについてしまおうと、ベッドに横になっていたのだが、彼の耳はまたもや奇妙な音をとらえてしまった。

「コン……コン……」「コン……コンコン……」

 この音はどこから出ているのだろう。

「コンコンコンコンコンコン……」

 自分の居場所を知らせるかのように、音は徐々に大きくなってくる。そして彼は気づいてしまった。なんとその音は部屋の壁に備え付けられたクローゼットの中から聞こえてきているのだ。まるで中に潜んだ誰かが内側からクローゼットの扉をノックしているような音だ。昨晩一度は否定したが、この部屋に何かがいるのはもう間違いがないようだった。恐怖に支配された彼は、無意識にこう叫んでいた。

「うるさい! やめろ!」

 すると、その声に素直に従うかのように、「コンコンコン」というノック音は聞こえなくなった。今のうちに寝てしまおうと、毛布にくるまった彼だったが、そんな姿をあざ笑うかのように、再びクローゼットから異様な音が発せられた。

「ガリガリ……ガリガリガリ……」

 彼の脳裏に、クローゼットの中にいる何者かが、扉に爪を立てている絵が浮かんだ。その時すでにクローゼットを開けて確かめる勇気は彼には残っていなかった。急いでイヤホンを耳にさし、朝まで大音量で音楽をかけ続けたのだった。

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