【実録・コロナ怪談!】14日間隔離されたホテルの部屋が「いわくつき」だった件! 毎晩襲いかかる怪奇現象がエスカレートし…

 そう思った彼は、毛布を目元までずらし、自分の足元を見た。暗くてはっきりとは見えなかったが、確かに化粧台の椅子がベッドの足元に移動してきているようだった。

 と、その時だった。彼がかぶっていた毛布が強い力ではがされた。そして暗さに適応を始めてしまった視力が、とんでもないものをとらえてしまった。それは椅子の上に立つ、膝から下だけの2本の足だった。


「ぎゃあああああああ!!!」

 なんとか振り絞った彼のその声で、ちょうど近くにいたスタッフが部屋に駆け込んできた。

「今すぐこの部屋から出してください。ここには幽霊がいるんです。さっきもその椅子の上に足が……」

 必死で訴えてみたものの、先ほど目にした足は、スタッフがつけた電気の明るさの中ですっかり消えてしまっていた。もちろん彼の願いは聞き入れられることなく、結局、部屋中の電気をつけっぱなっしにし、朝が来るのをひたすら待つしかなかったという。

 

―隔離中に部屋を出る最終手段―

 これが、テーさんが2週間の隔離で体験した全てである。彼はその日無事に隔離を終え、家族のもとに帰ることができた。だが、筆者はこの体験談を読んであるニュースを思い出していた。

 チョンブリーのホテルにおいて隔離生活をしていたイスラエル帰りの青年、16階の部屋から飛び降りて死亡。事件性がないことから警察は自殺と断定。

 もしかするとその青年は、死んでまでもその部屋を出ていきたい、そんな理由を抱えていたのかもしれない……。

文=バンナー星人

2004年よりタイ在住。バンコクの公立学校にてタイの高校生に日本語を教える傍ら、2017年に、高野山大学院通信課程密教学修士号取得。仏教とオカルトが織りなすアメイジングなタイの魅力にとりつかれている。

Twitter : @berialshunnya

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