【実録・コロナ怪談!】14日間隔離されたホテルの部屋が「いわくつき」だった件! 毎晩襲いかかる怪奇現象がエスカレートし…
―隔離6日目―「いたって普通の部屋です」
一睡もできず迎えた、次の日の朝。いつものように食事を持ってきたホテルスタッフに思いきってこうたずねてみた。「すみません、この部屋ってなにかいわくつきの部屋なのでしょうか」
一瞬驚いたような顔をしたようにみえたスタッフだったが、「いいえ、いたって普通の部屋です。」と答えるのみであった。あと8日間、自分は正気を保っていられるのだろうか。
―隔離10日目―謎のお経
次に新たな異変が起きたのはちょうど隔離10日目の夜だった。あの夜から、相変わらず異音が聞こえることもあったが、それを無視してパソコンに向かい仕事をしていた。音が聞こえるだけなら相手にする必要はない、と心に決めてのことだった。その夜もベッドの上に座りながら、書類を作成していた彼は、急に強い眠気に襲われ膝の上にパソコンを置いたまま居眠りをしてしまった。
どのぐらいそうしていたのだろう。ビクッと目を覚ました彼が目にしたものは信じられないものだった。パソコンの画面に、自分が打ったはずのないものが映しだされていたのだ。
『นะโม ตัสสะ ภะคะวะโต อะระหะโต สัมมาสัมพุทธธัสสะ』
この文章は「ナモータサパカワトーアラハトーサマーサプッタサ」と読む。お釈迦様に向けて唱えるこのお経の一節は、日本人にとっての「南無阿弥陀仏」のように誰もが知っているものであり、霊に遭遇した時にも、仏様からの御加護を求めて唱える人も多い。
これは、自分が打ったものなのだろうか。覚えていないが、何か危機的な状況に晒され、急いで経文を打ち込んだのだろうか。それともこの部屋にいる何かが、救いを求めてこれを打ち込んだのだろうか。いずれにしても彼にとって一番恐ろしかったのは記憶がないことだった。彼は自分の身体が自分のものではなくなってしまったような、そんな感覚を覚え始めていた。
―隔離最終夜―ついに見てしまった
あの夜から数日がたち、ついにこの悪夢の隔離から解放される日を明日に迎えることとなった。この数日、彼が考えることは、家で待つ家族のことだけだった。トイレやクローゼットからの音は相変わらず続いていたが、それでも正気を保っていられたのは、「必ずここを出て家族に会う」という強い思いがあったからだったと、彼は語っている。日中は、明日に備えての最終身体検査や、荷造りなどで忙しく過ぎていった。
そして、ついにこの部屋での最後の夜を迎えた。もう何も聞きたくない、何も見たくもない、とにかく今晩だけ耐えればいいのだ、そんな思いから、彼は毛布を頭までかぶり、ひたすら眠る努力をしていた。だが、「いよいよ明日にはここを出て、家族のもとに帰れる」という思いから、彼はなかなか寝つくことはできなかった。
時計の針が深夜0時をまわった時だろうか。
「ズズズ……ズズズ……」
今までとは違う音が聞こえてきた。どうも椅子を引きずるような音だ。しかし、音の方向感覚がはっきりしない。もしかすると今回は本当に隣の部屋から聞こえてきているのかもしれない。だが「ズズズズズズ……」ともう一度聞こえた音で、自分を騙すことはできなくなった。その音は明らかに化粧台の方向からベッドの足元に向かっている。
「くそ! どっちにしても今日が最後の夜だ。この目で確かめてやる」
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2024.10.02 20:00心霊【実録・コロナ怪談!】14日間隔離されたホテルの部屋が「いわくつき」だった件! 毎晩襲いかかる怪奇現象がエスカレートし…のページです。タイ、怪談、ホテル、隔離、新型コロナウイルス、事故物件などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで