「ミソキネシア」― 動いている人を見るとイライラする症状の謎 3人に1人がミソキネシア

 そこで研究者チームは、「ミソキネシア」感受性を持つと報告した人々における、感情的および社会的影響を調査した。

 その結果、「ミソキネシア」を持つ人々は感情的に悪影響を受け、怒り、不安、欲求不満などの反応を経験するだけでなく、社会的状況、仕事、学習環境での楽しみが減少することが分かった。そして「ミソキネシア」感受性を持つ人々は、この症状のために、社会的活動を減らす人も少なくないという。またこれらの症状は年齢とともに増加し、高齢者はより大きな問題を報告していることも分かった。

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「Daily Mail」の記事より

■「ミラーニューロン」が関係しているのか!?

 さて、なぜ「ミソキネシア」のような症状が起こるのかについてだが、研究者は明確ではないが「ミラーニューロン」に関係する可能性があるという。

 ミラーニューロンとは、自分が実際に行動する時に活性化するが、他者が動くのを見ている時にも活性化する神経細胞である。以前は人間の持つ同情などの反応に関係していると考えられてきた。

 ミラーニューロンは、他人と他人の動きの背後にある意図を理解するのに役立つものでもあるとジャスワル氏は説明する。

「人々は共感によってリンクされています。例えば、誰かが怪我をしているのを見ると、あなたもたじろぐことがあるでしょう。他人の痛みはあなた自身の脳に反映されており、それによってあなたは彼らの感情を体験し、彼らに共感するようになるのです」(ジャスワル氏)。

「人々がそわそわする理由は、彼らが不安または神経質になっているためです。そのため、ミソキネシアを持つ人がそれを見ると、彼らはそれを反映してしまい、不安または神経質になるのかもしれません。」(同)

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「The Swaddle」の記事より

 研究者たちは現在、ミソキネシアに苦しむ個人のために、本当に「ミラーニューロン」がこの症状に関係しているかどうかを調べたいと考えている。

「ミソキネシア」によく似たものに「ミソフォニア」があるが、「ミソフォニア」はあくまでも他の人が発する「音」(咀嚼音や机をカタカタ揺する音など)に悩まされる症状で、視覚に対して反応する「ミソキネシア」とは異なるものだという。しかし1人の人が、ミソフォニアとミソキネシアの両方の症状を経験することはよくあることらしい。

「ミソキネシア」を持つ人々は従来なら単に「神経質な人」として片付けられていたであろう。

 今回、「ミソキネシア」は脳に関係しており、3人に1人が経験している症状であることが分かったことは、大きな進歩である。ある人は次のように述べたという。「症状に名前が付き、自分は頭がおかしい人でない事を知り、とてもうれしかったです」と。

参考:「Daily Mail」、「The Swaddle」ほか

文=三橋ココ

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