自殺を犯罪にしたら“子殺し”事件が大量発生して…!? 自殺と殺人にまつわる深~い歴史的経緯を亜留間次郎が解説!
グスタフ3世は同時期、未婚の母が自らの子を殺さないように子殺しの勅令(Barnamordsplakatet)を出しました。
これによって未婚の母は我が子を殺さなくてよくなり、スウェーデンの子供が殺される犯罪の一位と二位が根絶されました。
凶悪犯罪を無くしたのは厳罰ではなく、王の慈悲だったのです。
その後も自殺が犯罪なら自殺にならないように他殺してもらって合法的に自殺して天国に行くための脱法行為は欧州各地で頻繁に起き、大問題であり続けました。
現代日本でも死刑になりたいから人を殺した死刑囚がいましたが、そういう輩は世界的にも大昔からいたのです。
●殺戮合法化
犯罪だった自殺が合法化して現在に至る始まりはイギリスの詩人ジョン・ダン(John Donne)がイギリス初の自殺擁護論者として1608年に自著『ビアタナトス(Biathanatos)』の中で“罪にならない自殺”という意味で「self homicide」という言葉を使った頃からです。
その後、イギリスの自然哲学者ウォルター・チャールトン(Walter Charlton)が1652年に出版した『自然の光によって払拭された無神論の闇(The darkness of atheism dispelled by the light of nature)』で初めて正当な行為としての自殺を意味する「Suicide」という言葉が生まれ、犯罪行為の自己殺人「Self Murder」と合法的な自殺「Suicide」が区別されるようになりました。
「suicide」はラテン語で自分自身を意味する「sui」と殺しを意味する「cide」の合成語です。
他人を殺す場合はラテン語で人間を意味する「homen」を使い「homicide」と呼びます。
殺人罪が「Murder」なのに対して正当防衛や戦争による正当な殺人を「Justifiable homicide」と呼ぶのは同じ人殺しでも「Murder」は不法行為だけど「Homicide」は正当な行為だからです。 欧米の法学では殺意の無かった過失致死も「Homicide」になります。
だから事故や正当防衛で人を殺した場合は「Murder」ではなく「Homicide」にしないと殺した人の正当性を否定することになります。
実在しませんが、もしも殺人許可証なんてものがあるなら英語表記はマーダー・ライセンス(Murder license)ではなく、ホミサイド・ライセンス(homicide license)にしないと法的正当性がなくなってしまい、合法なライセンスではなくなるのでフィクションに登場させる時はご注意ください。
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2024.10.02 20:00心霊自殺を犯罪にしたら“子殺し”事件が大量発生して…!? 自殺と殺人にまつわる深~い歴史的経緯を亜留間次郎が解説!のページです。キリスト教、殺人、自殺、死刑、天国、子殺しなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで