世界初・生殖する生きたロボット「ゼノボット」
世界初・生殖する生きたロボット「ゼノボット」がヤバい! がんや汚染も“食べて”解決、暴走の可能性は!?
環境汚染対策や再生医療に画期的イノベーションをもたらすことが見込まれる一方、かなり不気味な側面もある“生きたロボット”が登場している。カエルの細胞から作られ、特定の細胞をまるでパックマンのように食べてしまうプログラムを施され、さらにその口から子どもを産んで子孫を繁栄させる能力を持つ「ゼノボット」である。
■生殖能力を獲得したゼノボット3.0
フランケンシュタイン博士よろしく、今後我々は人工的に生命を生み出すことができるのだろうか――。その鍵を握るのが昨今、めざましい進歩を遂げている「合成生物学(synthetic biology)」である。
合成生物学には、生命の設計図となるゲノムを目的に沿って自在に構築する技術の開発も含まれており、それは生きたロボットや人工生命の誕生にも繋がっている。
昨年にはアメリカのバーモント大学とタフツ大学の研究チームによって、カエルの胚から採取した細胞から「ゼノボット(Xenobot)」という全長1ミリほどの生きたロボットが作られて話題になった。ゼノボットは動き回ることのほかにも、自己修復能力を備え、群れを形成して集団で行動することも可能であった。
ゼノボットはその後、急速にバージョンアップが図られ、ゼノボット2.0では鞭毛を生やすことで運動能力が向上し、実装した1ビットメモリによって情報を記憶したり読み取ることもできるようになった。
そして今回、同研究から発表されたゼノボット3.0はこの短期間のうちにさらに驚くべき進化を遂げている。なんと子どもを産み、子孫を残す能力まで獲得したのである。さらにこの最新型のゼノボットには、再生医療をはじめとする医療分野で画期的治療法を確立する道も拓けているというのだ。
AI(人工知能)によって設計されたこのゼノボット3.0は、まるでビデオゲームのパックマンのような“口”の中に単一の細胞を集めて再構成し、自分の分身となる“子ども”を作り出すという驚くべき能力を備えている。

「私たちは歩くゼノボット(初代)を開発しました。そして泳ぐゼノボット(2.0)を開発しました。そして今、この研究では運動学的に生殖できるゼノボット(3.0)を開発しました」とバーモント大学のコンピューター科学者でロボット工学の専門家であるジョシュ・ボンガード氏は語る。
研究チームによるとゼノボットはインテリジェントなドラッグデリバリーのための人工生物の開発を支援するという。つまり、ゼノボットのような“生きたロボット”を使って人体の特定の場所に直接薬剤を届ける治療法の開発が期待できるのである。
タフツ大学のマイケル・レビン氏は「細胞のコレクションに、私たちが望んでいることを命令する方法がわかれば、最終的には再生医療に活かすことができます。それは外傷性傷害、先天性欠損症、がん、老化の解決策です」と言及している。
「問題は、どのセルのグループが構築されるかを予測および制御する方法がわからないことです。ゼノボットはそれを私たちに教えてくれる新しいプラットフォームです」(マイケル・レビン氏)
また現在、深刻な環境問題となっている河川や海洋のマイクロプラスチックだが、これもゼノボットが有効な解決策になるという。ゼノボットにマイクロプラスチックを“食べてもらう”ことが考えられるのだ。ゼノボットが切り拓く未来に大きな期待が寄せられているようだ。

■AIが“パックマン”型を選択
2020年、研究チームはアフリカで見つかったアフリカツメガエルの幹細胞を元に、コンピュータで設計されたゼノボットを作成したことで大きな注目を集めた。そしてもちろん、今回のゼノボット3.0もまた同じカエル種の幹細胞を使用している。
生物である条件の1つとして自己複製能力、つまり自分の子孫を残す生殖能力が挙げられるが、人工的に作り上げた合成生物に生殖能力を持たせることはできるのか。
この問いにチャレンジするために研究チームはAIを活用した。AIのアルゴリズムは、シミュレーションで数十億のボディの体型(三角形、正方形、ピラミッド、ヒトデ型など)をテストして、自己複製に適したものを見つけることができたのだ。
「私たちはバーモント大学のスーパーコンピュータに、最初の親の体型を再現するよう依頼しました。するとAIはパックマンに似たものを含め、何カ月も考えた末にいくつかの奇妙なデザインを思いつきました」とタフツ大学のサム・クリーグマン氏は語る。そして、それは“パックマン”タイプであったのだ。
「直感的なものからはかけ離れています。とてもシンプルに見えますが、人間のエンジニアが思いつくようなものではありません。なぜ1つの小さな口? なぜ5つではないのですか? 結果を(研究チームの)ダグラス・ブラキストンに伝え、彼はこれらのパックマン型の親ゼノボットを作成しました」(サム・クリーグマン氏)
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