10の人格を持つ男性の知られざる日常とは? 全ての人格を受け入れた時、驚きの変化が…!=独
独バイエルン州ミュンヘンに住む男性、レナード・シュテックルさん(22)は、「多重人格」として知られる解離性同一性障害(DID)と向き合ってきた。
DIDは、幼少期に経験した大きなストレスやトラウマによって、ひとりの人間の中に複数の人格が生じる精神疾患である。レナードさんの場合、年齢も性別も異なる10人の人格が存在する。レナードさん以外の人格と年齢はコブ(4)、ヘクター(8)、アナ(16)、コスモ(17)、アッシュ(18)、ジェシー(19)、ビリー(23)、リヴ(24)、レッド(26)である。レナードさんはこれらの人格の集合体を「システム」と呼び、自分自身は「システム」をコントロールする「ホスト」の役割を担っていると考える。
それぞれの人格については、コブは最年少でとても静か、ヘクターは興奮しがちな子供でぬいぐるみ好き、アナは食欲不振に苦しんでいる、コスモは乱暴で少し軽薄、アッシュは出かけるのが大好き、ジェシーは物静かだがとても親切、ビリーとリヴは保護者的な役割、最年長のレッドは「システム」の管理者だという。
レナードさんは10代まで日常の行動を管理できていたという。また、7年間にわたり治療を受け続けてきた。しかし、昨年6月に試験を受けていた時に症状が悪化。勉強に集中できず、人格が切り替わって記憶喪失などに陥ることが多くなった。そのため、より効果的な治療法を求めて心療内科を訪れ、今年3月からは6週間の入院生活を送った。精神科医による典型的な治療だけでなく、気功、アーチェリー、芸術療法などを含むいくつかの治療を受けた。DIOと診断されたのは4月26日に退院するちょうど2日前のことだった。レナードさんは自らの状態が明らかになったことに安堵する一方で、これから茨の道を歩むことになるだろうと覚悟を決めた。
レナードさんは入院によって症状が大きく改善したわけではない。人格が頻繁に入れ替わるため仕事もできなくなった。現在は米国の電子商取引サイト「Etsy」で手作りのしおりやトートバッグを販売するショップを経営している。外出するときはいつも同伴者を必要とする。DIDのフラッシュバックや発作を引き起こすきっかけがあちこちにあるからである。
DIOと共存することを学んだレナードさんは、安全で適切な支援を受けられる環境を手に入れた。2020年10月からはボーイフレンドのマッシモさんと一緒に住んでいる。「彼は私たちの世話をしてくれる主な人です。それぞれの人格は私のボーイフレンドと独自の関係を持っています」と話すレナードさんは、マッシモさんと一緒に料理をしたり映画を見たりして過ごしている。
「オンラインで人と相談することはできますが、誰を信頼するかについては注意が必要です。Reddit(海外掲示板)とFacebookには意見交換したり質問できるグループがあり、ドイツにはいくつかのセンターも存在するのですが、そこにいるすべての人たちがDIDについて教育を受けているわけではありません」
DID患者の多くは恥ずかしさや他人と会うことの難しさなどから、自らの経験を共有したがらないという。そのため、症状について熟知しているセラピストも少なく、患者はなかなか困難を克服できない。介助犬が患者の生活改善に役立つのも確かだが、高い費用がかかることから、働けない患者が利用するのは非現実的である。
こうした現状に危機感を抱くレナードさんは、世界中の人々にDIDを知ってもらうため、今年5月から自らの症状について解説する動画をオンラインに投稿し始めた。当初はとても不安だったレナードさんだが、ポジティブな反応に励まされ、DIDに関する情報コンテンツを現在も作成し続けている。
「DIDは映画やドラマで正しく描写されていません。私たちは超能力を持っていませんし、危険でもありません。DIDをテーマとする映画のジャンルはファンタジーとスリラーだけです。これらによってハリウッドは社会における私たちの尊厳を奪っています。私たちは本物の映画やドキュメンタリーを必要としています。多額の費用をかけて映画を製作して数百万ドルを稼ぐ必要はありません」(レナードさん)
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2024.10.02 20:00心霊10の人格を持つ男性の知られざる日常とは? 全ての人格を受け入れた時、驚きの変化が…!=独のページです。ドイツ、トラウマ、解離性同一性障害、精神疾患、多重人格などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで