敵を恐怖と混乱に陥れる心理戦9選! 戦争で勝敗を決する残忍な古代文明の戦術
戦争で勝利するのに重要なのは物理的な武力だけではない。敵軍を威嚇し、恐怖と混乱に陥れ、戦意を喪失させる心理戦が勝敗を決することも少なくない。こうした心理戦は人類の誕生以来存在していたとされる。その中でも、古代文明で実際に行われていた残忍な心理戦を9例紹介しよう。
心理戦1
占拠
紀元前3世紀のマケドニア王国を統治したアレクサンドロス大王(アレクサンドロス3世)は、当時としては非常に斬新な心理戦を採用し、遠征を成功させて版図を拡大した。このときの心理戦は、ローマ人が後に強力な軍事力を獲得した際にも採用されたものである。
アレクサンドロスの心理戦は「融合政策」として知られる。マケドニア軍の将校は都市に侵攻し、略奪や焼き討ちを行い、男性を処刑する一方で女性を確保した。アレクサンドロスは軍を都市に配置したまま、征服した文化の社会的エリートと有効的な関係を築き、かつての敵対勢力がギリシア文化を取り入れてマケドニア王国に同化しやすいようにした。
この戦術は、表面的には友好的に見える一方で、敵対する軍の兵士が街角に立って住民を監視して脅迫していた。占拠された地域の住民は、マケドニア王国への同化を実質的に強制されたと考えられる。
心理戦2
タイミング
紀元前5世紀のアケメネス朝ペルシアの国王キュロス2世は、心理戦を利用して、メソポタミア南部を支配していた新バビロニアの征服を成功させた。心理戦が適切なタイミングで行われれば、最小限の戦いで敵の都市を陥落させられることを示している。
新バビロニアの最後の王ナボニドゥスは月神シンを崇拝し、バビロニアの国家神マルドゥクを蔑ろにした。マルドゥクの司祭たちはこのことを重大な違反とみなした。さらに、ナボニドゥスは11年にわたって遠征を行い、皇太子ベルシャザルに統治を委ねて本国を留守にしていた。そのため、民衆はナボニドゥスを嫌うようになった。
キュロスはこうした事情を利用した。また、プロパガンダを広めるために代表者を街に送り、民衆の間で王への反感を大きくしていった。これには何年もかかったという。その後、機が熟したと判断したキュロスは、マルドゥクの司祭たちを取り込んでナボニドゥスから離反させ、新バビロニアと同盟を結ぶ予定だった軍をも取り込み、紀元前539年のオピスの戦いで新バビロニア軍を破った。
心理戦3
政治的影響力
ガイウス・ユリウス・カエサルは共和政ローマで紀元前1世紀に活躍した政務官である。紀元前58年にガリア・キサルピナなどの属州総督に就任し、同地域のガリア諸族と友好関係を築いていった。その結果、部族の間では好意的に受け入れられ、歓迎された。しかし、カエサルの真の目的はガリア全土を完全にローマの属州とすることだった。カエサルは政治的影響力を駆使して、何年もかけてこの目的を実現するための準備をしていた。
紀元前58年、ガリア人ヘルウェティイ族がローマの属州ガリア・ナルボネンシスの通過許可を要求した。カエサルはこれを拒否し、ヘルウェティイ族に戦争を仕掛け、これをきっかけにガリア遠征を開始した。紀元前52年のアレシアの戦いにおいて、カエサルは大規模な包囲戦を行い、アレシアを陥落させてガリア軍を破った。この後も抵抗を続けるガリア人部族があったが、ローマ軍はこれを鎮圧して、紀元前51年にはガリア全土がローマの属州となった。
ガリア戦争後、カエサルは実績を評価されて権威を高め、莫大な戦利品を獲得した。戦争に参加した将校はカエサルに忠誠を誓い、私兵軍団を形成した。こうしてカエサルは自らの野心を実現することに成功した。
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2024.10.02 20:00心霊敵を恐怖と混乱に陥れる心理戦9選! 戦争で勝敗を決する残忍な古代文明の戦術のページです。戦争、拷問、串刺し、磔刑、心理戦などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで