昔の人はどれほど不衛生だったのか？ トイレ、入浴、歯科衛生事情など5つを紹介

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　外出時のマスクが定着し、公共の施設の入口には消毒液が用意されているのが標準になったりと、このコロナ禍で我々の公衆衛生は否応なく向上した。人類史上かつてない清潔な環境に暮らす我々だが、かつて先祖たちはどのような衛生環境にあったのだろうか――。

■トイレの衛生管理

　当然ではあるが近代以前の社会では上下水道のインフラ設備は整っていなかった。水洗トイレがない時代の人々は屋内でどのように用を足していたのか。

　たとえば中世ヨーロッパの中流以上の家屋には、人々が便器で用を足すための小部屋が屋敷の片隅にあった。初歩的なトイレということになる。排泄物はそこで一定時間溜め置かれていたのだが、当然だが人前では誰もその部屋に入りたくはなかった。裕福な家庭の屋敷では小部屋の便器に外部に通じるパイプが通っており、排泄物を外に溜めておく措置がとられているケースもあった。

　イギリスの王侯貴族の屋敷では排泄物を処理する専門の職員が配置されており、特に王のトイレは常時チェックされて常に清潔な状態に保たれていた。仕事の内容はなかなか大変だが、常に王の傍にいるということもあり、社会的地位の高い職業であったとされている。この仕事から王の側近になる者も珍しくはなかったのだ。

　したがってその仕事内容にかかわらず、下級貴族の子息には人気の職業であったのだが1901年にエドワード7世によってこの役職は廃止された。

■シラミや害獣

　中世の庶民の多くはアタマジラミからトコジラミなどのシラミに悩まされ、家屋には各種の虫が繁殖したりネズミなどの害獣が駆けまわったりと劣悪な衛生環境であった。

　中世の時代、特に貧しい家庭では家屋内の湿気を防ぐために床にわらを敷くのが一般的だったのだが、それはダニやシラミやノミなどの温床となっていた。

　床だけでなくベッドでも繁殖し、多くの人々が身体をシラミに侵されていた。特に社会の最貧層の人々にとって、ベッドを他の家族と共有することは一般的であったため、シラミは人々の間に簡単に伝染し、貧しい人々の間で蔓延していたのだ。

■石鹸とシャワー

　石鹸の登場は意外なほど古く、紀元前2800年に古代バビロニア人によって発明されて人々の間で活用されていた。考古学者によればそれは「灰で煮た脂肪」のようなものであったという。

　また古代エジプト人は定期的に入浴していたともいわれており、その証拠は紀元前1550年頃に書かれたエジプト医学パピルスである「エーベルス・パピルス」に記されている。そこには動物油と植物油を塩と組み合わせて石鹸を作る方法の説明もあるということだ。

　古代ギリシア人も非常に清潔で、石鹸を使用しただけでなく、水を噴霧する初歩的なシャワーも発明して活用していた。裕福な古代ギリシア人の家にはバスルームがあったこともわかっている。

　ローマ人は町に水道網を構築して大浴場で入浴し、独自に開発した石鹸で身体を洗っていたことがわかっている。

　今日のものと同様の石鹸は12世紀にイギリスで、17世紀にアメリカの植民地で作られるようになったと考えられている。

 
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