記憶は脳のどこにどのように保存されるのか? 感情と記憶の深い関係
動いている脳で記憶の形成や処理を観察することは難しい。シナプスは小さく、数が多いため(成人の人間の脳には約1兆個ある)、脳の表面を超えたイメージングを行うのは困難だとアーノルド氏は話している。また、画像処理方法は、脳の機能を妨げないようにする必要がある。しかし、新技術によって新しい発見が可能になりつつある。例えば、ゼブラフィッシュの脳を観察し、点滅する光と不快な感覚を関連付けることを学習させるために、アーノルド氏らはゼブラフィッシュのゲノムを改変し、シナプスに蛍光タンパク質を表示させるようにした。そして、特殊な顕微鏡を使ってシナプスの画像を撮影し、その変化を観察することができるのだ。
記憶の仕組みを理解することは、記憶喪失を引き起こすアルツハイマー病のような病気の治療に向けて前進する上で重要である。また、記憶に関するいくつかの癖を理解することは、記憶力の向上にもつながるだろう。たとえば、海馬は記憶を定着させるだけでなく、場所を移動する際にも関与している。円周率を数万桁まで記憶するような驚異的な暗記力を持つ人は、海馬の空間記憶能力を借りていることが多いのだ。これは記憶の宮殿と呼ばれるトリックで、覚えたい項目を架空の場所の位置と関連付けて記憶する技術だ。その場所を頭に思い浮かべることで、このテクニックを身につけた人は大量の情報を呼び出すことができるといわれている。
記憶の仕組みはまだまだ理解されていなことが多いようだが、神経細胞のネットワークやシナプスの発火に過ぎない物理的現象が記憶として体験されることの不思議は、記憶の仕組み以上に謎かもしれない。脳と意識経験の全貌が明らかになる日は来るのだろうか?
参考:「Live Science」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊記憶は脳のどこにどのように保存されるのか? 感情と記憶の深い関係のページです。記憶、脳、シナプス、ニューロンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで