犬の頭を持つ人々「キュノケファロス一族」の伝説がヤバい! 洞窟に住み、吠えて会話、インドに生息…マルコ・ポーロも遭遇

 神話や古い伝承には様々な異形の人々に関する記述が残っているが、「キュノケファロス(Cynoc​​ephalus)」もその一つである。キュノケファロスとはラテン語で「犬の頭」を意味し、その名の通り犬のような頭部を持つ人々を指し、古代エジプトやギリシャの神話に登場するほか、中世にはマルコ・ポーロをはじめとする多くの旅行者たちが各地の犬頭人を報告している。

犬の頭を持つ人々「キュノケファロス一族」の伝説がヤバい! 洞窟に住み、吠えて会話、インドに生息…マルコ・ポーロも遭遇の画像1
画像は「Wikipedia」より引用

■古代における犬頭の神々と人々

 犬頭の神というと古代エジプト神話に登場する冥界の神アヌビスを思い出す方が多いだろう。アヌビスは死者とミイラ作りの神であり、古代エジプトではミイラ作りの際、この神を模した犬の面をかぶっていたといわれている。また古代エジプト神話にはウプウアウト(アヌビスの息子ともいわれる)やドゥアムトエフ(太陽神ホルスの4人息子の1人)など、この他にも犬頭の神々がいた。

 また、古代の文献にはキュノケファロスの記述が残っている。古代ギリシアの歴史家クテシアス(紀元前5世紀ごろ)やメガステネス(紀元前4世紀末ごろ)は、その著書の中でインドに住む犬頭の人々について紹介している。それによると、彼らは山の中の洞窟に住み、吠えてコミュニケーションを取っていたという。言葉はしゃべれないが理解はできて、人間とも身振り手振りで意思疎通できたそうだ。好戦的で弓や槍の扱いに長けており、人間の王と取引して戦場で活躍したと伝えられている。

■犬頭の聖人と旅行者たちの証言

犬の頭を持つ人々「キュノケファロス一族」の伝説がヤバい! 洞窟に住み、吠えて会話、インドに生息…マルコ・ポーロも遭遇の画像2
聖クリストフォロス。画像は「Wikipedia」より引用

 キュノケファロスの存在は広く知られていたようで、キリスト教の聖人クリストフォロス(3世紀ごろ)はキュノケファロスの一族の出身だとされることがある。正教会の伝承によると、クリストフォロスはアフリカ北部出身の獰猛な犬頭の一族出身だが、ローマの捕虜になった後にキリスト教に改宗し、時の皇帝デキウスによって処刑された。そのイコンは犬の頭を持った人物として描かれていた。

 また、各地の神話や伝説にも犬頭の人々が登場している。ブリテンのアーサー王伝説もその一つで、王と騎士たちが犬頭の無法者たちを退治する話が残っている。その他にも、アレキサンダー大王の伝説(アレキサンダー・ロマンス)の中にもキュノケファロスが登場しており、このイメージが後の世に大きな影響を与えたとの指摘が存在する。

 中世に人気を博した旅行記の中にも、しばしばキュノケファロスが記録されている。13世紀にヴェネツィアから中国まで旅したマルコ・ポーロや、14世紀にモロッコからエジプト、インド、中国まで旅したイブン・バットゥータなどが、その著書の中で犬のような頭をした人々について書いているのだ。マルコ・ポーロによれば、彼らはインド東部のアンダマン諸島に住み、普段は香辛料を育てているというが、その性格は闘犬のように獰猛だという。

犬の頭を持つ人々「キュノケファロス一族」の伝説がヤバい! 洞窟に住み、吠えて会話、インドに生息…マルコ・ポーロも遭遇の画像3
画像は「Wikipedia」より引用

 その後、キュノケファロスの記録は絶え、今ではフィクションの中に登場するだけとなってしまった。獰猛で勇敢な戦士だったという彼らは、人間との戦いの中で絶滅してしまったとでもいうのだろうか? 現代でも時折目撃される狼男などのUMAは、もしかすると彼らの生き残りなのかもしれない。

参考:「Gods and Monsters.com」「Wikipedia」ほか

 

※当記事は2019年の記事を再編集して掲載しています。

TOCANA編集部

TOCANA/トカナ|UFO、UMA、心霊、予言など好奇心を刺激するオカルトニュースメディア
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web
YouTube: TOCANAチャンネル

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

犬の頭を持つ人々「キュノケファロス一族」の伝説がヤバい! 洞窟に住み、吠えて会話、インドに生息…マルコ・ポーロも遭遇のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで