「一夫多妻カルト」の指導者ウォーレン・ジョセフの狂気!

■父の死後、セクトのリーダーに

 ウォーレンは、広大な敷地のセクトの中にあるFLDS私立校「ALTAアカデミー」の校長を長年務めていた。もともと堅物な男だったウォーレンは、父の死を受けて預言者からリーダーへと昇格すると、コミュニティを拡大させていった。「家にはテレビは置かない。インターネットも使用禁止」という規則を作り、モダン化していた女性や子供たちが着る服や髪型を80年代風に戻すよう命じた。子供達が遊ぶ玩具もウォーレン自らチェックを入れた。

 2002年、FLDSのリーダーへと正式に昇格したウォーレンにはすでに複数の妻がいたが、父親の未亡人たちに対しても「自分の妻になるように」と言い渡した。これまでのFLDSの教義にはなかったことだったため、驚いてセクトを逃げ出したり、拒否したりする未亡人もいたが、彼女たちに対しては「2度と結婚することは許さない」と命じた。

PexelsによるPixabayからの画像

 ウォーレンはFLDS責任者として、14歳を過ぎた少女たちと男性信者との結婚を積極的に仲介するようになった。自分こそ選ばれしリーダーで預言者だと自負していたウォーレンのワンマンぶりに耐えられなくなった者は多かった。ウォーレンは2004年、自分に反発心を抱くコロラド州の信者20名を破門処分にし、残された彼らの妻たちは別のFLDS信者と再婚させた。いとこ同士の結婚も平気で行わせた。

 しかし2004年末、破門にさせられたウォーレンの甥にあたるブレント・ジェフという男性が訴訟を起こし、「ウォーレンに性的暴行されたことがある」と暴露したことで事態は一変する。彼の訴訟がきっかけで、無理やり結婚させられ性行為を強要されていた未成年たちも続々告発を始めた。ウォーレンはセクトにこもるようになったが、その間も告発は増え続け、FBIはついにウォーレンを指名手配したのだった。

■ウォーレンの逮捕

 2006年8月28日、ネバダ州ラスベガス市警察は抜き打ちで走行している車を停車させ、車内点検を行なっていた。この抜き打ち点検にウォーレンはひっかかり、逮捕された。逮捕時、ウォーレンは5万ドル(約550万円)の現金、いくつもの携帯電話、変装用のウィッグやサングラスまで所持していた。つまり逃げる気まんまんだったのである。

 ウォーレンは公判が始まる前、収容されていた拘置所で首を吊り自殺未遂を図ったが失敗。2007年9月、ユタ州の裁判では2件の強姦を共謀したとして有罪となり禁錮10年から終身刑という、思いがけず軽い判決を受けた。

Saurabh SinhaによるPixabayからの画像

 2008年4月になり、テキサス州エルロラドのFLDS牧場で生活していた信者が「強姦や虐待が日常的に行われている」と警察に通報。未成年の幼な妻を含む468人の子供たちが保護され、130人の女性たちが子供たちと一緒にいるためにセクトを後にした。残った母親たちは「子供たちを違法に引き離し保護した」と訴え、5月に違法だという判決が下るなど、セクトの子供の保護をめぐってのごたごたがしばらく続いた。

 そして2008年7月、ウォーレンはテキサスの大陪審からFLDSの男性信者と共に重婚、性的暴行罪で起訴された。2010年6月、未成年との性行為でウォーレンを起訴していたアリゾナ州の裁判官はテキサス州の裁判を優先させるためにと起訴を取り下げ、7月にユタ州の裁判所も「2007年の判決は選抜された陪審員に偏りがあった」として判決を無効にした。

 2010年11月、ウォーレンはユタ州からテキサス州へと移動し、重婚と児童への性的暴行罪での裁判を受けることに。ウォーレンは無罪を主張し、自分で自分の弁護もしたが、2011年8月に有罪判決を受け、14歳以下への性的暴行で終身刑、17歳以下への性的暴行で禁錮20年の重い判決を受けた。

 裁判所から出てきて警察車両に乗るウォーレンは、待ち構えていた人々から「お前はまだ自分が預言者だと思ってるのか!」と罵声を浴びた。しかし、FLDSセクトに残った信者たちは彼のことを「みんなの罪を背負ってくれた現代のイエス・キリスト」だとますます崇め、ウォーレンも面会に訪れた信者たちに説教を施すなどやりたい放題だった。

 ウォーレンが支配していたFLDSセクトだが、敷地のほとんどはテキサス州に没収され、2016年には11人の信者たちがマネーロンダリングなどで起訴されるなどボロボロになっている。2017年9月には結婚を強要した未成年の女性たちに1600万ドル(約17億6000万円)の慰謝料を支払う判決が出たが、果たしてウォーレンに支払い能力があるのかどうかは不明だ。

画像は「YouTube」より

 FLDSのセクトはウォーレンが支配していたセクトだけではない。他にも多くのセクトが存在しており、場所によっては生理が始まった時期や12歳になったら結婚させられる少女もいると伝えられている。隔離された敷地で共同生活を送っている信者たちを脱退させることは容易なことではない。「少女が老人と結婚させられセックスさせられるのはおかしい」「近親婚が増え奇形児も増えている現状をどうにかしなければならない」と、セクトから逃げだした元信者たちが結束し救出活動を進めているが、脱出してもセクトの外での暮らしに慣れることができず、結局セクトに戻る者も少なくないという。

 ウォーレンは刑務所に放り込むことができたが、FLDSの問題はあまりにも大き過ぎて、当局は今も頭を悩ませ続けている。

関連動画

Biography」、「CNN」、「YouTube

 

※当記事は2018年の記事を再編集して掲載しています。

TOCANA編集部

TOCANA/トカナ|UFO、UMA、心霊、予言など好奇心を刺激するオカルトニュースメディア
Twitter: @DailyTocana
Instagram: tocanagram
Facebook: tocana.web
YouTube: TOCANAチャンネル

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

「一夫多妻カルト」の指導者ウォーレン・ジョセフの狂気!のページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで

人気記事ランキング更新