人類史上最大の富豪「マンサ・ムーサ」とは?「通り過ぎるだけで経済を破壊」異次元級の超金持ちエピソード!
歴史上には想像を絶する大富豪が存在している。聖地メッカへ巡礼に向かうため「通過しただけ」の国の経済を10年以上にわたり破壊するほどの財力とは、いったい……!?
■人類史上最大の富豪の最強エピソード
人類史上最大の富豪ともいわれる、マンサ・ムーサは中世西アフリカのサヘル地帯で繁栄したマリ王国を1312年から1337年まで統治した王であった。豊富に採掘された塩と金の採掘を通じて、一説には現在の価値にして約4000億ドル(約54兆円)と推定される資産を蓄え、その莫大な富を湯水のように散財した。
このマンサ・ムーサ王の絶大な富豪ぶりを示すエピソードが、1324年のメッカ巡礼である。
記録によるとムーサ王は、兵士、従者、民間人、奴隷を含む総勢数万人のキャラバンで、約4,000マイル(6437km)の巡礼の旅を行った。
500人の従者は瀟洒なペルシャ製の絹の衣服を身に纏い、金の杖を持っていた。さらにキャラバンは10トンを超える金の延べ棒を運ぶラクダと馬を従えていた。
この壮大な旅で重要な出来事の1つがエジプトで起きた。
歴史家のシハブ・アル・ウマリの記述によると、まず、ムーサ王の一行は道中にカイロの統治者であるナースィル・ムハンマド(アル・マリク・アル・ナシル)に面会する予定だったが、この地の習わしとして「地面と君主の手にキスをしなければならない」とわかり、ナシルに会うことをキャンセルしたと言われている。
しかしこの問題はすぐに解決され、ムーサ王の一行はエジプトに暫し滞在し、ムーサ王から少なくない小遣いを渡されたキャラバンの人々は家に持ち帰る土産や食べ物を大量に買い込み、さらにムーサ王は現地の貧しい人々に気前よく砂金を分け与えたのだった。
このムーサ王の太っ腹な施しに、エジプトの人々は大いに喜んだのだが、現地の経済が混乱するほどの影響を受けることになった。善意とはいえムーサ王があまりにも膨大な金をばら撒いたことによってエジプトの貴金属の価値が暴落し、深刻なインフレが発生。キャラバン一行が旅立った後、エジプトの経済は立ち直れないほど大きなダメージを受けることになったのである。
マンサ・ムーサ王の短い訪問の後、エジプト経済が立ち直るのに少なくとも12年を要したと考えられている。一国の経済を10年以上の混乱に導いたマンサ・ムーサ王の圧倒的な財力は当時の世界から羨望の眼差しを受けると同時に、震撼させてもいたのである。
巡礼を終えたムーサ王は、ますますイスラム教の導入に尽力。多くのモスクのほかアフリカ大陸で最初の大学といわれるサンコーレ・モスクも建設し、法学や天文学に進歩をもたらすなど、文化・学問・経済などさまざまな面で後のアフリカに大きな影響を残した。その治世においてマリ王国は最盛期を迎え、その栄光は遠くヨーロッパまで伝わり、現在でもムーサ王はマリ国民から絶大なる敬愛を集めている。ムーサ王は決してただの自制心を欠いた無謀な浪費家だったわけではないのだ。
参考:「Ancient Origins」、ほか
※当記事は2022年の記事を再編集して掲載しています。
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