異なる文明が“ほぼ同時期”に農業を始めた理由とは? いまだ学者を悩ませる起源の謎

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 人類史上最大の技術革新の一つ、それは「農業の発明」だ。驚くべきことに、農業は世界の異なる地域で、互いに接触のなかった複数の文明によってほぼ同時期に発展した。これは「新石器革命(Neolithic Revolution)」と呼ばれ、考古学者や人類学者にとって長年の謎となっている。

 この不可解な現象に改めて注目したのが、科学雑誌『New Scientist』のライター、マイケル・マーシャルだ。彼は最新の研究をもとに、なぜ世界各地の古代人が一斉に狩猟採集生活を捨て、農業へと移行したのかを探った。

地球の変化と人類の進化がもたらした転換点

 この歴史の大きな転換は、約1万1700年前、氷期が終わりを迎えた後に起こった。地球の気候が温暖化し、動植物の生態系が大きく変化したことで、人類は新たな生存戦略を模索する必要に迫られた。

 2023年に発表された科学誌『PNAS』の論文によると、少なくとも24カ所の異なる地域で、人類はほぼ同時期に作物を栽培し始めた。これらの地域には、アフリカ、ユーラシア、北米、南米が含まれる。つまり、世界の異なる大陸に住んでいた人々が、互いに影響を受けることなく、独立して農業を始めたというのだ。

 これは単なる偶然なのか、それとも何らかの共通した要因が働いたのか?研究者たちは長年この問いに答えようとしているが、未だに確かな答えは出ていない。

農業の発展を促した要因とは?

 考古学者や人類学者の間では、「なぜ人類が農業を始めたのか」について、いくつかの仮説が立てられている。

1. 環境変化と食料不足
 地球温暖化により、これまでの狩猟採集では安定して食料を得ることが難しくなった可能性がある。特に大型動物の絶滅が進んだことで、新たな食料確保の手段として農業が発展したという説だ。

2. 社会的・政治的要因
 一部の研究では、農業の発展と同時に「財産」という概念が生まれた可能性が指摘されている。狩猟採集社会では資源を共有することが一般的だったが、農耕を始めることで土地や作物を所有するという概念が芽生え、社会構造に変化が起きたのかもしれない。

3. 植物による“だまし”
 スミソニアン研究所の人類学者、メリンダ・ゼダー博士は、あるユニークな仮説を提唱している。それは「人類は植物に騙された可能性がある」というものだ。つまり、人類が農業を始めたのではなく、一部の植物が生存戦略として人類に利用されるよう仕向けたのではないか、という視点だ。この説が正しければ、農業は人類の意図ではなく、進化の必然だったのかもしれない。

ネアンデルタール人も農業を試みていた?

『New Scientist』のマーシャル氏は、新たな仮説として「ネアンデルタール人や他の初期人類も、簡単な農業を試みていたのではないか」と指摘する。

「もし彼らに農業を発展させる認知能力や身体的能力がなかったとすれば、その理由は何なのか?」とマーシャル氏は問いかける。仮にネアンデルタール人が小規模な栽培を行っていたとすれば、その知識が後のホモ・サピエンスの農業発展につながった可能性もある。

 ただし、仮にネアンデルタール人が農業を始めていたとしても、それがなぜ長い年月を経て突然広範囲に普及したのかは依然として説明がつかない。

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未解決のまま残る“農業の起源”の謎

 この謎を解くには、さらなる考古学的・遺伝学的な証拠が必要だ。しかし、今のところ決定的な答えは出ていない。

 もしかすると、これからの研究で驚くべき発見があるかもしれない。例えば、より古い農業の痕跡が見つかることで、農業の起源がさらに遡る可能性も考えられる。

 世界の異なる場所で同時期に農業が始まった理由は今も謎のままだ。しかし、一部では、これは偶然ではなく、古代宇宙飛行士が人類に知識を授けた結果ではないかとも囁かれている。神話に残る『天からの訪問者』の話も、ただの伝説とは言い切れないのかもしれない。

参考:Futurism、ほか

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