古代ペトログリフ「イタ・レトラ」― そこに刻まれた“星図”と、いまだ解読不能な謎の文字

南米パラグアイの奥深く、イビティルス山脈に、古代の謎を秘めた場所が存在する。「イタ・レトラ」(石の文字)と呼ばれるその場所には、7000年以上前に刻まれたとされる、不可解なペトログリフ(岩面彫刻)が残されている。
かつては、コロンブスがアメリカ大陸に到達する遥か昔に、この地を訪れたヴァイキングによって刻まれたものではないか、という説がまことしやかに囁かれ、世界中の探検家たちを魅了してきた。
ヴァイキング伝説と、考古学が導き出した真実
「イタ・レトラ」のペトログリフがヴァイキング起源であるという説は、この地域に住んでいたグアヤキ族が北欧の血を引いているという、さらに壮大な神話へと発展していった。
しかし、2010年に行われたスペインのアルタミラ博物館の考古学者チームによる詳細な調査が、この長年の伝説に終止符を打つ。
調査の結果、これらのペトログリフは、ヴァイキングではなく、紀元前5000年から2500年にかけてこの地に住んでいた、先住民によって作成されたものであると結論付けられたのだ。

7000年前に描かれた“星図”と古代人の世界観
考古学者チームは、「イタ・レトラ」に刻まれたシンボルの多くを記録し、その解釈に成功した。
最も古いシンボルは、洞窟の最も奥深い場所にあり、紀元前5000年頃にまで遡ると考えられている。そこに描かれていたのは、星座や星図、ネコ科の動物や鳥の足跡、そして女性器など、当時の人々が認識し、洞窟の壁に再現した、彼らの世界そのものであった。
一方で、より新しい時代、紀元前2500年頃に描かれたとされる洞窟の入口付近のペトログリフは、より抽象的な直線と曲線で構成されており、その意味は今なお解読できていない。
これらの解読不能な文字は、南米大陸が我々の想像を遥かに超える、古く、そして神秘的な歴史を秘めていることを示す、動かぬ証拠である。
「イタ・レトラ」は、ヴァイキング伝説というロマンを我々から奪ったかもしれない。しかし、その代わりに、7000年以上も前にこの地で天の星々を見上げ、自らの世界を岩壁に刻みつけた、名もなき古代人の存在を、我々に教えてくれるのだ。
参考:The Ancient Code、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊古代ペトログリフ「イタ・レトラ」― そこに刻まれた“星図”と、いまだ解読不能な謎の文字のページです。ペトログリフ、パラグアイなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで