火星探査機が捉えた恒星間天体「3I/ATLAS」の“真の姿”をNASAが公開
ついに“宇宙船説”に終止符? 火星探査機が捉えた恒星間天体「3I/ATLAS」の“真の姿”をNASAが公開

「あれはエイリアンの宇宙船ではない。彗星だ」
太陽系外からの謎の訪問者「3I/ATLAS」を巡る、世界中を巻き込んだ憶測と論争。その混乱に終止符を打つべく、NASAがついに沈黙を破った。
火星探査機をはじめとする、数々の探査機が太陽の裏側で捉えた、3I/ATLASの“真の姿”。NASAが公開した最新画像は、この天体が地球外生命体の乗り物ではなく、「風変わりだが、まぎれもなく自然の彗星である」ことを示していた。
火星からの“決定的”な一枚―至近距離3000万kmで撮影
3I/ATLASが科学者たちを悩ませてきた最大の理由は、最も活動が活発になる太陽最接近(近日点)の時期に、地球から見て太陽の真裏に隠れてしまい、詳細な観測ができなかったことにある。
しかし、その時、地球の代わりに“特等席”にいたのが、火星だった。
NASAの火星周回探査機「MRO(マーズ・リコネッサンス・オービター)」は、10月2日、わずか3000万kmという、これまでにない至近距離から3I/ATLASの撮影に成功。NASAの惑星科学者は、「地球は太陽の反対側にいたが、火星は“正しい側”にいたんだ」と、その幸運を語る。
このMROが捉えた光学画像に加え、火星探査車「パーサヴィアランス」が火星の地表から撮影した画像、さらには太陽観測衛星「PUNCH」や小惑星探査機「LUCY」などが、それぞれの場所から捉えた複数の画像が、今回一斉に公開された。


NASA高官が“噂”を公式に否定
NASAは、これらの画像を公開するにあたり、世界中で広まっている「エイリアン宇宙船説」について、異例の公式見解を発表した。
NASAのアミット・クシャトリヤ副長官は、「噂について話すことは重要だと思う」と前置きし、こう断言した。
「この物体は彗星だ。見た目も、振る舞いも彗星であり、すべての証拠が、それが彗星であることを示している。ただし、これは太陽系の外から来たものであり、それがこの天体を魅力的で、エキサイティングで、科学的に非常に重要なものにしているのだ」
緑色の輝きと、長く伸びる“尾”―アマチュア天文家が捉えた「彗星の証拠」
NASAの公式見解を裏付けるかのように、地上からの新たな観測報告も届いている。
11月16日、ニューメキシコ州のアマチュア天文家、ムラタ・サトル氏が撮影した3I/ATLASの写真は、長く、豊かに流れるような尾と、彗星特有の緑がかったコマ(核の周りのガス)の姿を、鮮明に捉えていた。これらはすべて、この天体が自然起源の彗星であることと完全に一致する特徴だ。

12月19日、地球最接近―最後のショーが始まる
数ヶ月にわたり、私たちを翻弄してきた謎の訪問者、3I/ATLAS。その正体は、どうやら“宇宙船”ではなかったようだ。
しかし、物語はまだ終わらない。12月19日、3I/ATLASは地球に最接近する。その距離は安全なものだが、地球上の望遠鏡やカメラで、この100億年の旅人を詳細に観測する、最後の絶好の機会となる。
NASAが突きつけた現実は、どうやら「ただの彗星」だったようだ。それでも心のどこかで、サンタクロースの存在を信じていたい子供のように、12月19日の夜空に“奇跡”を期待してしまうのは、私だけだろうか。
参考:ScienceAlert、ほか
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