亡き祖母とAIが対話を再現 —— 16人が体験した「生成された幽霊」の予想外の心地よさ

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イメージ画像 Created with AI image generation

 亡くなった祖母と、もう一度言葉を交わせるとしたら——。今、そんな死者との「再会」を人工知能が実現しつつある。

 ある女性はAIが再現した亡き祖母と対話し、これまで感じたことのなかった一種の区切り、心の整理がついたと語ったという。SF映画のような話に聞こえるかもしれないが、これは学術的に記録された実際の体験だ。

 米コロラド大学ボルダー校の研究チームが、故人をAIで蘇らせる技術に人々がどう反応するかを検証した初期の実証研究を公開した。そこで見えてきたのは、研究者自身の予想を裏切る意外な反応だった。

「生成された幽霊」——16人が体験した死者との対話

 研究チームはこうしたAIエージェントを「生成された幽霊(generative ghosts)」と呼んでいる。故人が残した文章や音声の記録、写真といったデータをもとに、その人物との会話を疑似的に生成する仕組みだ。

 すでにこの分野には複数のサービスが存在する。「Project December」や「Séance AI」は日記やメッセージからテキスト版の故人を作り出し、「HereAfterAI」は音声や画像も取り込む。ホログラムのように再現された故人と対話できるVR体験を開発した企業もあるという。

 研究は22歳から50歳までの16人を対象に行われた。参加者はそれぞれ、亡くなった家族や友人についてZoom越しのインタビューに応じる。進行役が会話を導く傍らで、別の研究者がその人物の情報を大規模言語モデルに入力し、リアルタイムで故人のAIを生成していった。

 この研究を主導した情報科学の博士課程学生ジャック・マニング氏は、当初、セッションは参加者を不快にさせるだろうと考えていた。人気SFドラマ『ブラック・ミラー』のように不気味に感じられるはずだ、と。だが結果は正反対で、多くの参加者はこの体験を「素晴らしい」と受け止めたという。

「表現」より「転生」——一人称で語るAIを人は選んだ

 参加者はそれぞれ、2種類のAIと約20分ずつ対話した。一方は故人本人になりきって一人称で語り、もう一方は故人を三人称で客観的に描写するものだ。

 結果は明確だった。人々が強く好んだのは、故人本人として一人称で語りかけてくるバージョンだったのである。研究チームはこれを、故人を「表現」するのではなく「転生」させることへの選好だと表現している。

 さらに興味深いのは、参加者がAIの事実誤認や作り話をあまり気に留めなかった点だ。重視されたのは正確さよりも、口調や言葉遣いが故人らしいかどうかだったという。逆に、その人らしからぬ言い回しが混じると、人々は一気に興ざめしてしまう傾向が見られた。

 コミュニケーションの様式も体験を左右した。参加者が好んだのは、AIにありがちな長く形式張った文章ではなく、短く端的な返答や、時には絵文字を交えた語り口だった。故人の「声」や「話し方」を再現することこそが、事実の正確さ以上に鍵を握るというわけだ。

全員が「また使いたい」——それでも拭えない懸念

 注目すべきは、16人の参加者全員が、この技術をまた使いたいと答えた点だ。死者との対話という一見タブーめいた体験が、多くの人にとって拒絶ではなく癒やしとして受け入れられたことになる。

 ただし参加者の多くは、この技術がはらむリスクへの懸念も口にしたという。故人のAIに依存しすぎれば、悲しみと向き合い前へ進むプロセスがかえって妨げられるのではないか——そうした不安は当然だろう。

 AIが故人の「声」をまとって語りかけてくる時代に、私たちは大切な人の死をどう受け止めていくのか。技術が突きつけるのは、慰めと執着のあわいに立つ、私たち自身の心の問題なのかもしれない。

参考:The Debrief、ほか

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