AIによる地球外生命体探査の落とし穴!「偽の生命」に100%騙されるアルゴリズムの弱点と最新実験

人工知能(AI)は、今や医療におけるがん診断から宇宙のデータ解析まで、あらゆる分野で「パターン認識の達人」としてもてはやされている。NASAでさえ、何十年も前から宇宙のデータを読み解くためにAIを活用してきた。
しかし、もしその優秀なAIが、私たちの最も知りたい疑問——「地球外生命体(エイリアン)は存在するのか?」という問いに対して、いとも簡単に「嘘の答え(誤検知)」を出してしまうとしたらどうだろうか。
ミシガン州立大学の研究チームが行った最新の実験で、AIは「生命のサイン」を見分けるテストにおいて、人間よりもはるかに簡単に騙されてしまうことが証明された。
AIを騙すのは簡単だった。「偽の生命」に騙されるアルゴリズム
ミシガン州立大学のアンキット・グプタ氏(コンピュータサイエンス博士課程)とクリストフ・アダミ教授は、AIが「生命」と「非生命」を正確に見分けられるかをテストした。
実験に使われたのは、本物の細胞ではなく「デジタル生物」と呼ばれるコンピュータコードだ。これは数十年前から進化の研究に使われているプログラムで、彼らは「Avida」というソフトウェアを使って何万ものデジタル生物を作り出した。
一部のプログラムは「自己複製し、子孫に不完全なコピーを残す」という生命の基本的な特徴を持っていたが、残りのプログラムはただの「非生命(自己複製しないコード)」だった。
研究チームがAIを訓練した結果、AIは「生命」と「非生命」をなんと99.97%という驚異的な精度で見分けることができるようになった。この数字だけを見れば、「AIを火星探査機に乗せれば、絶対にエイリアンの微生物を見つけてくれる!」と期待したくなるだろう。
しかし、現実はそう甘くはなかった。
チームは、AIが「これは非生命だ」と正しく認識したデジタル生物のコードを、ほんの少しずつ書き換えるという意地悪なテストを行った。
すると、コードをわずか150回ほど書き換えただけで、その生物は依然として自己複製能力を持たない「ただの非生命(偽物)」であるにもかかわらず、AIは自信満々に「これは生命体です!」と誤判定するようになってしまったのだ。
「私たちがどんなコマンドの配列から始めても、100%の確率でAIを騙すことができました」とグプタ氏は語る。
「AIのアキレス腱」がもたらす宇宙探査の悲劇
訓練では99.97%の精度を叩き出したAIが、少しパターンを変えられただけで「100%騙されてしまう」。この事実は、巨額の予算を投じてAI搭載の探査ローバーを火星やエウロパ(木星の衛星)に送り込もうとしている宇宙機関にとって、まさに悪夢のようなニュースだ。
アダミ教授は、「AIにはアキレス腱があります。パターンを見て、それを完全に誤って分類してしまうことがあるのです」と警告する。
もし火星でAIが「生命を発見しました!」と地球にシグナルを送り、世界中がお祭り騒ぎになった後で、それがただの「AIの勘違い(パターン認識のエラー)」だったと判明したら……その絶望感と失墜する信頼は計り知れない。

月のクレーター探しでも「ポンコツぶり」を発揮
AIのこの「ポンコツぶり」は、生命探査だけでなく、もっと単純な作業でも露呈している。
サウスウエスト研究所の研究チームが、月面のクレーターの位置や大きさを自動でリストアップする「AI生成のクレーターカタログ」を8種類調査したところ、驚くべき結果が出た。
人間の天文学者が手作業で作ったカタログの精度(基準)をAIに当てはめてみると、AIが作ったカタログは「非常に低品質」だったのだ。AIは人間が気づかないパターンを見つけるのが得意な反面、信じられないほど大量の「誤検知(クレーターではないものをクレーターだと判定する)」を量産していたのである。
AIに「最後の一線」は任せられない
AIは膨大なデータを高速で処理し、特定のパターンを認識するツールとしては間違いなく優秀だ。しかし、彼らは「意味」を理解しているわけではない。人間が少し意地悪なデータを混ぜたり、未知の環境に直面したりすると、彼らは平気で「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」を吐き出す。
「最終的なループの中には、必ず人間がいなければなりません」とアダミ教授は強調する。
地球外生命体とのファーストコンタクトという、人類の歴史を変える最もセンシティブな瞬間を、私たちは決してAI(機械)に丸投げしてはいけない。
次に火星から「生命発見」のニュースが届いたときは、それがAIの早とちりではないか、人間の科学者がしっかりと顕微鏡を覗き込むまで喜ぶのは我慢した方がよさそうだ。
参考:IFLScience、ほか
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