【バチカン最大の闇】15歳の少女はなぜ消えた? 枢機卿の性的暴行、マフィアの監禁、法王暗殺未遂……「エマヌエラ・オルランディ失踪事件」の全貌

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 バチカンの未解決事件「エマヌエラ・オルランディ失踪事件」とは――。帰宅途中の女子生徒が夜に街中で目撃されたのを最後に謎の失踪を遂げている。

■闇深いバチカン少女失踪事件

 音楽学校に通うバチカン市国の15歳の少女、エマヌエラ・オルランディは1983年6月22日夜、街角のバス停で帰宅のバスを待っているのを目撃されたのを最後に行方不明となった。帰

 宅前のエマヌエラが家に最後にかけた電話では、エイボン化粧品の担当者からファッションショーで2時間チラシを配る仕事のオファーを受けたと話していたという。

 帰宅しない娘を心配した家族はすぐに警察に連絡し捜索が開始されたがまったく手がかりは得られないままであった。ちなみにエマヌエラの父親は教皇庁に勤務する聖職者である。

 地元の警察官は、エマヌエラがエイボン化粧品のバッグを肩にかけた男と話しているのを目撃したとされ、その男は深緑色のBMWを運転していた。警察はその車を特定できたが、修理中の車両であり持ち主は女性で、それ以上の調査は打ち切られた。

 事件は新聞をはじめ広く報じられ、いくつかの目撃証言が寄せられた。

 自分の婚約者がカンポ・デ・フィオーリ広場でエマヌエラらしき少女を目撃したという男性の証言や、別の男性はその時期にバルバラと名乗る家出少女に出会い、少女はエイボン化粧品を売って生計を立てていると聞かされたと話し、エマヌエラであったのかもしれないと示唆した。

 同時期にバチカンはいくつかの疑わしい問題に巻き込まれていた。米ソ冷戦の終盤にさしかかっていたこの時期、西側は鉄のカーテンの向こう側の共産主義国家を打倒しようと奮闘しており、一方でソ連の指導者たちが宗教の根絶を目指す中、カトリック教徒は目立たぬように礼拝することを強いられていたという。

 2年前の1981年には教皇ヨハネ・パウロ2世の暗殺未遂事件が起きている。教皇を銃撃した犯人のメフメト・アリ・アジャはトルコのテロ組織とKGBの両方と関係のあるテロリストだが、アメリカ訛りの匿名の電話は、このアジャの解放と引き換えにするためにテロリストがエマヌエラを誘拐したのだと告げてきたが、それは狂言であった。

 前年の1982年にはバチカン銀行(宗教事業協会)と深い関わりがあった「アンブロシアーノ銀行」の頭取、ロベルト・カルヴィがロンドンのブラックフライアーズ橋で首吊り死体となって発見された「ロベルト・カルヴィ暗殺事件」もあったばかりだった。

 2005年、マフィア「バンダ・デッラ・マリアーナ」のリーダー、エンリコ・デ・ペディスの元恋人サブリナ・ミナルディは、エマヌエラがデ・ペディスのアパートに監禁され、繰り返し薬物を投与されていたという衝撃的な証言をした。ミナルディの記憶によれば、エマヌエラは最終的にバチカンのナンバープレートを付けた黒い車で別の場所へ移送されたという。

 エマヌエラの突然の失踪にバチカンが関わっていた可能性はあるのだろうか?

 失踪の前日、エマヌエラの友人の1人は彼女から、バチカン庭園を散歩中に枢機卿から性的暴行を受けたと打ち明けられたという証言もある。

 2012年にはじまったバチカンの過剰な支出を暴露した「バチリークス・スキャンダル」で、2015年に「市民エマヌエラ・オルランディの国内移送を支援するための費用」と記された文書が発掘された。

 その文書には驚くべきことにバチカンが1983年から1997年までロンドンに住むエマヌエラの生活費や教育費や医療費を含め、約25万ユーロ以上を費やしていた記録が残されている。そこにはバチカンと密接な関係を持つスカラブリーニ神父が運営するロンドンのユースホステルの住所も記録されていたのである。

 バチカンとイタリア当局は共にこれらの文書は偽物であるとの見解を示している。

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 そして2019年、不吉なメッセージが届いた。

 手紙には「天使が指す場所を見よ」との指示と共にバチカンのテウトニコ墓地の天使像の写真が同封されていた。

 天使像が指している墓には19世紀の王女2人が埋葬されたいたが、墓を掘り返してみたところ王女2人の遺骨は消えており、示唆されていたエマヌエラの亡骸もなかった。

 しかし墓地内にある修道院から謎の納骨室が発見され無数の骨が発見されたのだった。

 依然として未解決の「エマヌエラ・オルランディ失踪事件」だが、その真相には触れてはならないバチカンの闇が横たわっているのだろうか。時の経過と共にその闇は深まってしまいそうだ。

参考:「Popular Mechanics」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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