握手で感染!? 死亡率35%の奇妙なウィルス「MERSコロナウイルス」が広がっている!?
米国の保健当局は、死亡率35%の奇妙な中東のウイルスが、一人の男性から他の人に感染したと報告した。
■ミーティング前の握手だけで感染
画像は「Daily Mail」より
5月初め、イリノイ州の男性が、わずか40分間のミーティング(握手以上の接触なし)でインディアナ州の男性と接触した際に、「MERS(Middle East respiratory syndrome)」コロナウイルスに感染した。これは、米国では初めてのケースである。幸い、イリノイ州の男性は感染したものの、健康であり医学的処置は必要ではないと疾病管理予防センターが判断している。
この件に関し、疾病管理予防センターのデビッド・スワドロー医師は「この出来事が、公衆におけるリスクを変えるとは私たちは考えていません」と述べ、「ウイルスが強力な感染力を持つとは考えられず、人対人の近距離の接触のみで広まる」と発言した。
しかし、そのような弱いウイルスがなぜ握手しかしていない、僅か40分間のビジネス・ミーティングで感染したのだろうか?
さらにその後、米国における2番目の感染者が確認された。フロリダ州を訪問していた44歳のサウジアラビアの男性である。ちなみに、サウジアラビアは2年前に広がったMERSコロナウイルス発生の中心地。
まだたった2件の症例ではあるが、「MERS」が米国に広がっているのは確かなようだ。
■「MERS」とは?
MERSコロナウイルスは中東のラクダから発見されたウィルスで、一般的な風邪や SARS(重症急性呼吸器症候群)を含む、コロナウイルス科に属している。ちなみに、ラクダからどのように人間に広がったかはまだ明らかになっていない。
現在、約600人が呼吸器疾患を起こし、約175人が死亡。それらは全て中東地域、もしくは中東に旅した人々に関係しているという。ちなみに、SARSは2003年に世界中で800人の死の原因となった。
■まだ治療法がないMERSコロナウイルス
このウイルスにはワクチンや治療法が無く、発熱、咳、息切れなどの症状を和らげる以外の特別な治療法は無い。しかし、ウイルスに接触した全員が病気になるわけではないという。疾病管理予防センターは、現時点では旅行者が旅先を変更する必要はないとしているが、アラビア半島周辺で病気の乗客がいた場合の報告を航空業界に求めている。
■なぜ、広まってしまった? 非難されるサウジアラビア
画像は「Daily Mail」より
MERSコロナウイルス発生の中心として、現在、サウジアラビアは批判にさらされている。公衆衛生専門家によれば「政府と科学者がもっと協力すれば、どこからウイルスが来たのか、どのような仕組みを持ったウイルスなのかが既に明らかになっているはずだ」というのだ。
SARSは中国でキクガシラコウモリやハクビシンの肉を食べた人から広まった事が分かったが、MERSコロナウイルスは中東でラクダとの接触がある人々から広まったと言われている。なぜ、最近になって、急に様々な動物から人へとウイルスが感染するようになったのだろうか。人間が弱くなったのか、それとも他にもっと別な理由があるのだろうか。謎は深まるばかりである。
(文=美加リッター)
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