他者と10分間見つめ合うと幻覚体験・体外離脱することが判明! メカニズム不明の「アイコンタクト・パワー」
この現象は「神経適応(neural adaptation)」という働きによるものと考えられている。まったく変化しないものを見続けていると視覚に関係した神経回路の反応が鈍くなるかあるいは完全に止まってしまい、視覚情報を一時的に受信しなくなるために起る現象であるということだ。どんな対象でも動かないモノを見れば神経適応は起るのだが、単に壁を見続けた者に比べて、他者の瞳を見ることでレベルの違う幻覚体験が得られるのだという。なぜ他者の瞳が図抜けた幻覚体験をもたらすのか、まだ詳しいことはわかっていない。
カプート氏はこの現象をドラッグを使わない幻覚体験であるとも表現しており、良くも悪くもメンタルへの影響力がきわめて大きいことが示唆されている。“アイコンタクト”の力をあらためて確認させられる話題だろう。
■アイコンタクトで言語的思考能力が奪われる
幻覚を見るだけではない。最新の研究ではアイコンタクト状態では言語的思考能力が奪われてしまうことが指摘されている。
京都大学の研究チームがこの10月に発表した研究では、26人のボランティア参加者を対象にした実験が解説されている。実験では、PCディスプレイ上でこちらを見つめている人の顔と目を合わせた状態と、視線を外した状態で言葉の連想ゲームを行うというものだ。ゲームの内容は、例えば「ナイフ」という名詞を提示され、それに続く動詞「切る」や「刺す」などを選んで発言する。「ナイフ」なら選択肢の数が少なくなり比較的簡単だが、「手」という名詞を提示された場合は「書く」や「弾く」、「指す」、「振る」など多くの動詞が思い浮かぶため答える所要時間は長くなりがちになる。
実験では、アイコンタクト状態ではこの言葉の連想ゲームで回答に要する時間が長くなる傾向がはっきりと浮かび上がったという。
「アイコンタクトと言語的思考能力はあくまでも別々の独立した脳の働きなのですが、会話中に多くの人々が時折相手の目から視線を外しています。これはアイコンタクトが言語的思考を妨げていることを示唆するものです」(研究論文より)
モラルとしてもビジネスマナーとしても、相手の目を見ないで話すのは確かに失礼なことではあるが、ジッと目を見つめ続けた状態で会話を続けるのは脳機能的に無理があることが指摘されることになった。この現象もある程度は「神経適応」で説明できるということだが、とりわけアイコンタクト状態で強く起こるということになるのだが、そのメカニズムは完全に解明されていない。
オンラインジャーナル「Collective Evolution」でこの話題をとり上げたケリー・ブラウン氏は、目を見つめ合うアイコンタクトの状態では、言葉で伝達する以上の情報がやりとりできるので、言葉を必要としなくなっているのではないかと指摘している。文字通り「目は口ほどにものをいう」ということわざを地で行く仮説ということになるだろう。

またブラウン氏は自己啓発系のセミナーに参加して、初対面の人とお互いの目をジッと数分間見つめ合う体験をしたことも記事に盛り込んでいる。英語で「アイスブレイク」という、初対面でも打ち解けた関係になるための手法として、この数分間のアイコンタクトが行われたということだが、この体験を通して論理的には説明できないほどの相互理解を短時間で結ぶことができたという。アイコンタクトがもたらす“効能”が徐々に解明されてきているようだ。
(文=仲田しんじ)
参考:「Collective Evolution」、ほか
※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊他者と10分間見つめ合うと幻覚体験・体外離脱することが判明! メカニズム不明の「アイコンタクト・パワー」のページです。目、コミュニケーション、視線、仲田しんじ、意識、幻覚、瞳などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで
科学最新記事
人気記事ランキング05:35更新
- ・危険な現実逃避「リアリティ・シフティング」とは
- ・「時間そのものが消滅する日」と、宇宙の“思ったより早い”終わり方
- ・トランプ大統領“生成AI説”が浮上か!?
- ・脳から18cmの「生きた虫」! 数年前の“生食”が招いた悪夢の正体
- ・“反重力装置”「ディーンドライブ」の謎
- ・専門家が断言「ダイアナ妃は死ぬはずではなかった」
- ・飛行機をわざと墜落させ判明した「一番安全な席」
- ・3番目の恒星間天体「3I/ATLAS」は“エイリアンの探査機”か?
- ・未来を言い当てたSF小説10選!
- ・山奥に現れた「巨人の扉」の正体とは?
- ・帝国と共に消えたロストテクノロジー、伝説の兵器「ギリシア火」
- ・危険な現実逃避「リアリティ・シフティング」とは
- ・「時間そのものが消滅する日」と、宇宙の“思ったより早い”終わり方
- ・トランプ大統領“生成AI説”が浮上か!?
- ・歌舞伎町でヤクザを12人も血祭りに
- ・マーク・ザッカーバーグ、マーク・ザッカーバーグを訴える
- ・「9月は地震の月になる」カリスマ予言者が警告!
- ・ニュース生放送中に“謎の手”が出現!キャスターも戦慄
- ・札幌の80代女性が100万円詐欺被害!「宇宙規模」のロマンス詐欺
- ・【独占インタビュー】予約2年待ちの霊能者「岡本雅之」が明かす“運命の変え方”! 人生の選択肢を増やす『超次元エネルギー』とは?