【写真展】ブローニュの森の娼婦、少数民族ロマ、ピカピカの都市…フランスの違和感を捉えた石川竜一最新作『OUTREMER/群青』が強烈すぎる!

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『OUTREMER/群青』


■綺麗に整備されたビル街に感じた気持ちの悪さ

―― 10月にカメラ雑誌で初めて発表した『OUTREMER/群青』の写真を見て、それまでの石川さんの写真よりパッと見が普通で静かな都市のイメージだったので驚きました。昨年末に渋谷のアツコバルーで開かれた写真展を見て、その印象が勘違いだったことがわかったのですが、どうしてこれまでにないイメージを雑誌で発表したり写真展のメインビジュアルに使ったのですか?

石川 僕が驚いたこと、向き合わされたものがあれだったんですよ。他の人から見たら当たり前のことかもしれないけれど、僕は多分、当たり前のことを無視し過ぎて来たんだと思うんです。だから「今の自分の生活環境や関わっている社会はこうなんです」っていうことなんですよ。

―― 『絶景のポリフォニー』で石川さんの写真を初めて見た時に、被写体の人や街が東京目線で普通じゃなく感じられました。沖縄に行くとよく見かける光景なんでしょうけれど、『adrenamix』も、どこの街にもいる若者たちを撮ったとも言えるけれど、やっぱり何かが違う。日の当たらない場所にいるような空気感が濃厚で。

石川 僕からしたら『絶景のポリフォニー』とか『okinawan portraits』のほうが全然普通で当たり前。発表した時も「世の中こんなもんだ」って思って出してるわけで。

―― 以前「写真を発表していろんな人たちと付き合うようになるまでは、いわゆるエリートビジネスマンとかには怖い感じがして近寄れなかった」と話していた記憶があるんです。『OUTREMER/群青』にはそういったこれまで石川さん自身が避けていたような場面が含まれていますね。

石川 そういう環境や人を避けていたわけではなくてタイミング的に関われなかったんだと思います。『adrenamix』の頃も、暗い気持ちではあったけれど「こんなもんだ」って思ってたから、世の中的にそこが暗い場所なのかその時はわからなかった。フランスでも、1回目にはドラッグとかがたくさんあるような場所にも行ったし写真に収めてもいたんです。でも、それが今までの自分に囚われているようで嫌だった。「これは今の自分の自然な姿なのか? 昔の何かに囚われていないのか?」って。

―― 石川さんの目の前の「普通」がどんどん変わってきて「今はここにいる」っていうことなんですね。

石川 そうだと思います。けど、わからない。僕自身が生活している場所じゃないから距離の違いもあると思います。ただし、普通だと思いながらも自分が違和感を感じる部分を撮っていることは変わっていないですね。

 

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『OUTREMER/群青』


―― どんな所に違和感を感じたんですか?

「こんなに綺麗で整った状態って何?」って。例えばラ・デファンスっていう、研究施設とか商業施設が固まってるエリアはピカピカでギラギラで「気持ち悪い」って思った。その後ろにロマとか移民の人たちの家とかがあるわけですよ。撮影した写真を連続で見ていったらそこが見えてきた。それがフランスに行って新しく見えてきたものなんです。

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