【写真展】ブローニュの森の娼婦、少数民族ロマ、ピカピカの都市…フランスの違和感を捉えた石川竜一最新作『OUTREMER/群青』が強烈すぎる!

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『OUTREMER/群青』


■言葉が通じないから「写真」が見えてきた

―― 写真展の前に『OUTREMER/群青』の写真を見せてもらった時に、被写体との距離感をつかみかねてフラフラしているような印象を持ちました。「フランスはキツい」とも言っていましたけれど、どういう部分がキツかったんでしょうか?

石川 今まで自分が思っていたことが通じないことですね。言葉も考えかたも通じないし環境も違うから、そこで何をやったらいいのかいけないのか何もわからない。どう動いたらいいかわからない。わかるのは、雰囲気とか当てにならないものだけだから。

―― その中でどうやって撮り進めていったんですか?

「見た目が好きかも」とか「この人面白い」とか「なんかカッコいい」とか「怖い」とか。目の前に何が写っているかしかないですよね。それが自分の意識の何かと繋がっているかみたいなことしかないんですよ。それくらい情報が少ない。

―― 情報が少ないというのは、言葉がわからないというのが大きいですよね。しかも、フランスは何でも言葉で説明することが求められる文化だからなおさらキツかったのでは?

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『OUTREMER/群青』


石川 そうですね。あんなに言葉でがんじがらめなのマジないなあって。フランス、要するに社会ですよね。システム。今感じているのは、自分が写真を撮っているのはシステムじゃなくもっと感覚的な所。それが何なのかを言葉で説明できなくても反応してしまう部分なんだって、フランスに行って余計に思いました。

―― 社会には強力なシステムがあって、言葉もその1つ。それを認識したうえで「写真で何ができるのか?」ということを模索することになったと。

石川 そうですね。システムや言葉について考えた時に自分の写真にあるもの、今まで自分がやってきたことのコンセプトや言葉ではない部分が何なのかということを考えさせられました。そこが写真の「身体性」みたいなものに繋がるんだと思うんですよね。使い古された言葉だけど。


―― 身体性とは?

石川 言語化できずに反応してしまう部分。ボクシングでいえばパンチが飛んできた時に、言葉ではなく体全体で反応して避けるわけで、その感覚は練習とかいろんな積み重ねから身に付くわけですよ。


―― ボクシングは肉体と五感をフルに使うスポーツですよね。まだ言葉がない時代、人は肉体と五感で世界と繋がっていた。写真を使えばロジックやシステムみたいなものを介さずに世界と繋がることができるのかもしれないですね。とはいえ、カメラも1つのシステムではあるのですが。

石川 「システムを介さずに」というわけではないけれど、振り子みたいなものだと思うんです。特に写真の場合はシステムを使っているからこそ反対側にぶっ飛べるっていうか。言葉もイメージもどちらかが全く欠けると成り立たない。言葉が通じない場所だからこそ言葉について考えたわけですよ。「言葉って何?」って。自分が不思議に思ったことを調べる。「めっちゃわかる。本を読んでわかった。でも、本当にそれだけか?」って思っちゃったんですよ。

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