「生きた人間の内臓を取り出して、すり潰し、針で注入すると糖尿病が治る」は本当だった!? 亜留間次郎が徹底解説、臓器売買・最前線!

 この魔法の治療の良いところは、失敗してもインスリン治療を続けなければならない現状維持になるだけで、顧客が死ぬリスクは非常に小さく、失敗しても再チャレンジが何度でも可能なので、金がある限り成功するまで繰り返すことが可能です。ビジネスとして美味しいのです。

 しかも、点滴一本打つだけなので治療中や治療後の患者の苦痛が非常に小さく、顧客満足度が高いです。医師の手間も腎臓移植より小さいので儲けが大きくなります。ただし、1回ごとに誰かに死んでもらう必要があるので、ドナーを探す移植コーディネーターの人が大変そうです。

生きた人間の内臓を取り出して、すり潰して、腹に針を刺して注入すると病気が治る」とか半世紀前の医師が聞いたらどこの未開部族の呪術だって言われそうです。すでに進みすぎた医学が呪術と区別できなくなっています。

■移植法

「生きた人間の内臓を取り出して、すり潰し、針で注入すると糖尿病が治る」は本当だった!? 亜留間次郎が徹底解説、臓器売買・最前線!の画像2
画像は「国立国際医療センター」より引用

 具体的にどうやって移植するのかと言うと「マイクロカプセル化ランゲルハンス島移植法」を行います。

 まずドナーから取り出した膵臓を粉々にして、ランゲルハンス島だけを分離抽出します。この小さな細胞の塊を、特殊なマイクロカプセルに封入して、それを肝臓に直接点滴します。400μm以下のマイクロカプセルは特殊なバイオポリマーでできていて、インスリン、糖、酸素、その他の栄養物質はカプセルを自由に透過できるが、免疫に関する抗体やT細胞は通さないという構造をしています。

 つまり、移植した臓器が免疫とトラブルを起こさないので拒絶反応で苦しんだりせず、免疫抑制剤が全く必要ありません。そして、臓器移植で面倒な、ドナーの血液型やHLA型が一致するかどうかを一切考慮する必要がありません。

 このマイクロカプセルは、お腹に針を刺して肝臓につながる太い血管から直接点滴され、肝臓の中に定着します。点滴一本打つだけで糖尿病が完全に治ってしまい、その後は特に薬も治療も必要なく普通の健康な体で天寿を全うできます。長い人生の途中でダメになっても、もう一回打てば治ります。

 そして、移植用臓器の中では飛びぬけて長期保存が可能です。電気代と薬品代食いますけど大した金額ではありません。なにしろ、1人100万個もある300μm程度の小さな細胞を400μm以下のマイクロカプセルに封入したものですから、代用血液の中に浮かべて一般的に人工心肺などと呼ばれる体外循環装置を組んで酸素と栄養を回しておけば死にません。採取加工後21日までが使用期限だそうです。

 他の臓器が24時間持たず、時間が経過するほど品質が低下するナマモノなのと比べたら、刺身と缶詰ぐらいの差があります。

 誰か他人を殺さなければならないという一点だけを除けば、完璧な夢の治療法なのです。

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