健康な老人を襲う「老人喰い」ビジネスの実態!“怖い介護サービス”で急成長する優良企業とは!?
――本当にあったビジネスの怖い話! 実話を元に再構成しています。
これは、現代社会の闇をほんの少しだけ垣間見たような、そしてほんの少しだけ怖い話だ。
「ワリのいい普通の仕事だとばかり思っていたんですよ」
現在は都内で介護士として働くアケミさんは当時のことを思い出しながら話してくれた。
「なにしろ、その前の職場と比べてとてもゆったりと働ける仕事だったんですから」
それまで高齢者向けの給食会社に勤務していたアケミさんは、あるとき取引先の課長さんから声をかけられた。
「あんたなかなか人さばきがうまいけど、別の仕事をやってみないかい?」
というのだ。それは「資産家の高齢者を対象とした見守り介護サービスで、都内の高級住宅街に住む引退老人の自宅を定期的に訪問する」という新しい仕事だった。
介護の現場は儲からないうえに激務というのが常識だ。以前の会社では朝6時に給食工場に出勤して、個人から介護施設向けまで大量の食事を作らされ、あらかたのメニューが出来上がったところで二人一組の配達要員となって軽トラックで担当地域の介護施設に食事を配って回る毎日だった。配達が終わる午後3時に帰宅したら、もうその日はぐったりというのがアケミさんの日常だった。
ところが新しい職場では、仕事内容はぜんぜんゆったりとしたものだった。昼と午後、二軒の高齢者の自宅を訪問するだけ。しかも仕事の内容は聞いていた以上に楽だった。
アケミさんは10時半に銀座の本部に出勤すると、デパ地下で指定されたお弁当と甘味を買って、担当エリアの世田谷方面に向かう。仕事は高齢者のお宅で、老人と一緒に昼食をとることだ。それが終わると別のお宅に向かって、今度は午後のお茶と和菓子を一緒に楽しむ。これが見守りサービスで、定期的にさびしい一人暮らしの老人の話相手になってあげるのだ。
「一流企業の部長だった人とか、所有する不動産の家賃で生活をしている人とか、いわゆる富裕層がお客さんでした。介護がまったく必要がない健康な人向けのサービスで『まだ大丈夫なうちは見守りだけをご提供します』と説明されていました」
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