「やはり客観的現実は存在しない」「現実は複数存在」 一流科学雑誌に掲載された最新研究が興味深い!
■時間的無限大の“究極観測者”
だが、実は「ウィグナーの友人」の思考実験には、普遍的な真理を担保する道も残されているのだ。こちらでは「シュレディンガーの猫」をテーマにしている。
ウィグナーの友人は猫が入った箱を観測し、その結果を別室にいるウィグナーに伝える。だが、もし友人がウィグナーに結果を伝えなかったらどうだろう? その場合、友人がいる部屋自体がひとつのシュレディンガーの猫の箱になってしまうのではないだろうか? ところで、友人がウィグナーに首尾よく結果を伝えたとしても事態は変わらない。ウィグナーと友人が研究所に引きこもり、外部の誰にも猫の生死を伝えない場合、この研究所自体が1つの大きなシュレディンガーの猫の箱として機能してしまうからだ。こうした観測結果の確認作業の連鎖は無限に続いていく。だが、世界で起こる全ての出来事を無限の視点から観測している“究極観測者”がいれば、事実を確定することができるだろう。そう、全ての事実は時間的無限大から世界を観測している“神”が決定しているのだ!
科学の客観性は神によって保証されている……。このことを認めないとすれば、科学は真理の探究から撤退し、“有用性”のみを追い求める道しか残されていないかもしれない。とはいえ、今回の研究は追試も行われておらず、十分に精査されているとは言えない。今後、他の科学者のリアクションに期待したいところだ。
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今回、ピアレビュー付きの「Science Advances」に掲載されたことで、精査された研究となったが、客観性を保証するはずの科学がその実在を否定するとは、なんとも皮肉な事態だと言えないだろうか?
一方、近年、哲学の世界では「人間なしの客観的実在」を奪還する試みが行われている。哲学と科学が正反対の立場を支持しつつあるのは、興味深い事態である。今後、どちらの陣営に軍配が上がるか、腰を据えて見守りたい。
参考:「MIT Technology Review」、「Phys.org」ほか
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2024.10.02 20:00心霊「やはり客観的現実は存在しない」「現実は複数存在」 一流科学雑誌に掲載された最新研究が興味深い!のページです。神、思考実験、ユージーン・ウィグナー、ウィグナーの友人、実在論、観念論などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで