「ハエ叩き」発明の歴史に潜むエピソードが面白すぎる! 亜留間次郎が徹底解説!
蠅取競走は年々過熱を見せ、町役場が1匹1厘で買い取るようになり、日本でも様々なハエ取り器が開発され売られました。ハエ叩きよりも複雑で凝った「ぜんまい仕掛け自動ハエ取り器ハイトリック」や「ハエ取りビン」などのハエ取りグッズが大量に売られました。
ハエ取り競走が過熱してくると、町役場にハエ7万匹が持ち込まれたのを聞いた二人組がそれを盗み出し、隣町の役場に売るという事件まで起きました。が、すぐにバレて逮捕されています。売値は7万匹で70円といいますから、当時の給料一カ月分にもなったのです。
7万匹をどうやって数えたのかというと、大雑把に体積換算で、一斗樽(約18リットル)のハエの死体を1万匹としていました。つまり、樽7つ分の蠅の死体を盗んで売ったわけです。
そして面白いことに、日本でもアメリカと同じようなことが起きています。
大正2年、兵庫県の堀江松治郎という発明家が、ゼンマイ仕掛けのハエ取り器「ハイトリック」を特許取得しました。大正8年、この特許は尾張時計という名古屋の時計メーカーに売却され、ハイトリックは全国で大人気になり、やがては海外輸出まで行われるようになりました。アメリカでは「AUTOMATIC FLY TRAP」という商品名で流通しており、特許が切れた現在でも電動式の物が普通に売られているほどのロングセラー商品となっています。
尾張時計はハエ取り器で儲けた資金で航空機部品の生産工場を建てたりとその後も大いに繁盛して、現在は尾張精機という機械部品メーカーになっています。一方で、発明者の堀江松治郎さんは二束三文で特許を売ってしまったらしく、その後消息不明です。
皆さんも発明を売る時は良く考えて売りましょうね。
参考:「ニューヨークタイムズ1966年6月7日号47頁」、「Wikipedia」、「尾張精機」ほか
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