宮城県「9歳女児転落事件」当事者が怪奇情報を暴露!「落下する妹を8階で目撃したのに…」川奈まり子の怪談 『怪の棲む土地』(前編)

川奈まり子の連載「情ノ奇譚」――恨み、妬み、嫉妬、性愛、恋慕…これまで取材した“実話怪談”の中から霊界と現世の間で渦巻く情念にまつわるエピソードを紹介する。

画像は「Getty Images」より引用


【三十六】『怪の棲む土地』(前編)

 宮城県仙台市にNという町がある。

 東西に走る仙谷線の線路に沿った細長いエリアと、その東の端から南に延びる長方形のエリアで構成されていて、地図で町域を確認すると、ちょうどアルファベットのLを上下さかさまにしたような形をしている。

 逆さのLの、コーナーの内側に自衛隊の駐屯地があり、南の端は仙台市の官公庁街に接している。

 Nは、江戸時代には宿場町として栄え、また、第二次大戦後は駐屯地の米兵向けの歓楽街が置かれたところで、90年代までは賑わいのあるスナック街を擁していた。しかし現在では、歓楽街はすっかり寂れて、そのあたりは一見ゴーストタウンのような様相を呈している。

 とはいえ荒んでいるのはNの町域のごく一部で、エリアの中心である仙谷線のN駅前や国道45号線の周辺には、モダンな大型店舗やマンションが立ち並んでいる。

 ひとわたり眺めてみた限りでは、快適に居住するには充分なインフラが整っていて、それでいて、東京などの大都市からは失われてしまった広々とした空が保たれた、暮らしやすそうな町という印象を受けた。平安時代の陸奥国宮城郡宮城郷(みやぎごう)は、ここNであったと言いつたえられるなど、歴史的にも興味深い土地だ。

 さて、このNで、今から14年前の2006年5月23日に、謎めいた事件が起きた。全国紙やニュースで報道されたので、ご記憶されている方もいらっしゃるかもしれない。

 どんな事件かというと、仙谷線N駅からほど近い11階建マンションの8階付近から、9歳の女の子が落ちて死んだのである。

 その経緯については、前述したように当時の新聞やテレビニュースの書き起こしなどで確認することができる。しかしそれは、公となった部分、客観的に説明が可能だったことだけなのだ。

 出来事というものは、必ず、どの視点から眺めるかによって、語られる事象に差異が生じる。見る人の主観により、別の出来事のようになってしまうことさえある。

 私は、今回たまたま、亡くなった少女の姉の視点を得ることができた。

 9歳の少女が転落死したとき、そのそばに彼女の姉がいた。この姉こそが、新聞などでは報道されなかった死体の第一発見者であり、唯一の目撃者なのだった――。警察が発表した〝事実〟では第一発見者はマンションの女性管理人ということになっている。

 警察の聴取に応えて話した姉の体験は、マスコミではほとんど報じられなかった。

 当人は、後に、自分にとっての“真実”を親友に打ち明けた。

 私はその話を聴いた次第だ。以下に述べる話は、天気や家族構成その他、幾つかの事柄については裏取りをして、証言を補足したものである。

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