宮城県「妹階落下事件」当事者が怪情報を暴露! 「落下する妹を8階で目撃したのに…」
宮城県「9歳女児転落事件」当事者が怪奇情報を暴露!「落下する妹を8階で目撃したのに…」川奈まり子の怪談 『怪の棲む土地』(前編)
事件があった日のこと。
その日は火曜日だった。夕方、このマンションの8階に住む当時11歳の彼女は、9歳になる妹と連れ立って1階のエントランスまで新聞の夕刊を取りに行こうとした。
下校後、宿題などを済ませてから夕刊を取ってくるのは、姉妹の役割だとされていた。朝は、朝食の前に朝刊を、これまた2人で仲良く取りに行く。
彼女らの上に2人、兄と姉がいる6人家族の一家には、家族それぞれに「係」が決められていて、日課をサボることは父が許さなかった。
ちょっと馬鹿馬鹿しいと思えても、だ。
なぜ2人で新聞を取りに行かねばならぬ。1人で行ってもよいではないか。……そんな疑問を持つこともいけなかった。多分それは、姉妹の父が自衛官であることと、少し関係があっただろう。規律正しくあること、決められた役目を果たすことが大事だとされた。
時刻は午後4時50分ぐらいの頃だった。この日の仙台市は薄曇りで、気温は最高で21.4度、最低で15.7度。
姉妹がマンションの外廊下に出ると、転落防止の壁の上に、黄昏時と呼ぶにはまだ早い明るんだ空が広がっていたはずだ。壁は厚みが50センチほどあり、高さは身長128センチの妹の背丈をわずかに超える130センチ。夕方になると、外廊下の床は壁の影でほとんど覆われた。
彼女らの家のドアから目視できる位置にエレベーターがあった。歩いて1分かかるか否か、という距離だ。姉妹はとことこと外廊下を歩いて、エレベーターの前に行った。
そして、姉である彼女がエレベーターのボタンを押した。
ここでいつもと違うことが起きた。彼女は、そのとき急に尿意を覚えてしまったのだった。
「おねえちゃん、おトイレに行ってくる。ここで待ってて。すぐ戻ってくるから」
妹はコックリとうなずいた。彼女は走って家に帰り、急いでおトイレを済ませて、エレベーターの前に駆け戻った。このとき家にいた彼女の母と姉が、トイレで「小」を済ませると直ちに駆け出していった彼女の姿を見ていた。
エレベーター前に戻るまでに5分も要したかどうか……。この後、マンションの管理人が警察に通報したときは午後5時を少し過ぎていたというが、たぶん、このときはまだ5時にはなっていなかった。
エレベーターの前に妹の姿がないことに、彼女はすぐに気づいた。
先に1階に降りたのだろうと最初は思った。しかし、エレベーターの箱はこの階(8階)に到着したままになっていた。
では、まだこの階にいるのだろうか? マンションの外廊下は長く、途中には子どもが隠れられる角や柱の出っ張り、階段室もある。
――飛び出して脅かそうとして、どこかに隠れてるんだな。
「どこ? 出ておいで!」
周りを見回しながら呼ばわった、そのとき。
壁の外、灰色の曇天に大きな影が現れた。
空から、まっさかさまに墜落してくる。
目を見開いた、妹だった。虚空を墜落してゆく。
頭を下に、たちまち壁の下へ吸い込まれて消えた。
一瞬、目が合ったような気がした。
妹は心底びっくりしていた、ようだった。
ガクガクと震えながら壁に駆け寄り、壁の厚みに両手を掛け、背伸びをして下を覗くと、駐車場のアスファルトの上に壊れた人形のようなものが倒れていた。
遠目にも、頭が半ば潰れて形が変形していることがわかった。首があらぬ角度に曲がっていて、顔は……顔は……思い出すことができない。
頭部の周囲に、赤黒い液体がじわじわと広がっていった。
そのとき、どこかから誰かの化鳥のような悲鳴が聞こえてきた。
彼女自身が放った絶叫だったかもしれなかった。というのは、頭から血を流して横たわっている妹を上から見下ろしてから、警察の事情聴取を受けるまでの間の記憶がすっぽりと抜け落ちているからだ。
マンションの住人達が飛び出してきたときには、放心状態で外廊下に倒れていたということを、後になって家族から聞かされた。
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