育った環境は人間に“遺伝子レベル”で影響を及ぼすと判明
育った環境は人間に“遺伝子レベル”で影響を及ぼすと判明! 「エピゲノム」に深刻すぎる格差(最新研究)
■空気の悪い地域で育つと心臓病、糖尿病、がんのリスクが高まる
研究では、1994年から1995年の間にイングランドとウェールズで生まれた約2000人の子どもたちのエピゲノムを分析している。彼らはイギリス国内の社会経済的条件のすべてのスペクトルを表す地域でそれぞれ育っている。
各々の地域はさまざまなデータソースを使用して、物質的、社会的、経済的、および健康と安全性の特性が評価された。これらの情報源には、地方自治体と刑事司法のデータベース、Googleストリートビューからの画像の体系的な観察、および住民調査が含まれている。
それらの地域的特色を浮き彫りにする情報は次に、対象者が18歳のときに提供した血液サンプルから得られたエピジェネティックデータと比較・検証された。後に心血管疾患や2型糖尿病などを発症する者も、この時点ではほとんど発症はしていなかった。
分析の結果、より恵まれない地域で育った子どもたちにおいて成育環境は、慢性炎症および肺がんの発生と関連し、タバコの煙と屋外の大気汚染への曝露と関連するエピゲノムにすでに違いが生じていることがわかったのだ。つまり貧しく空気の悪い地域に住んでいた者は18歳の時点でその後の健康リスク(心臓病、2型糖尿病、がん)が高まっていることになる。

たとえば、より恵まれない地域で育った参加者は、CYP1A1遺伝子の制御に違いが見られた。この遺伝子は多環芳香族炭化水素(Polycyclic Aromatic Hydrocarbons、PAHs)として知られているタバコの煙や屋外の大気汚染で一般的に見られる化学物質の曝露に関係していると考えられている。
これらの後天的変化により、肺がんを発症するリスクが高くなるのだ。恵まれない地域の子どもたちは、タバコの煙と大気汚染への曝露の悪影響をより受けやすいことを意味している。
18歳の時点で見られたエピジェネティックな違いが持続するものなのか、それとも環境や生活習慣を変えたりすることで修正できるのかについてはまだよくわかっておらず、これからの研究課題になるということだ。幼少期の成育環境がいかに重要であるのかを再確認させられる研究となったのだが、子を持つ親にとっても、地方行政においても場合によっては抜本的対策が求められるのだろう。
参考:「Science Alert」、「The Conversation」、ほか
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