2つの異なる時間が重なる「シュレーディンガーの時計」は存在した! 実験で量子力学と相対性理論が融合へ!?

 さらに同じく有名な“二重スリット実験”では、細長い窓が2つ並んだ壁に光子を続けざまに発射する実験が行われた。壁本体に当たらず窓(スリット)を通り抜けた光子は“波”としてのふるまいを見せたのだが、その様子を“観察”すると“粒子”のふるまいを見せることが確認されたのだ。つまり光は“波”でもあり“粒子”でもあるという不可解な量子力学的現象がまたひとつ、見つかったのである。

 このように摩訶不思議な量子力学の世界ではあるが、では現実に存在する最も正確な時計である2台の原子時計が、“重ね合わせ”や“量子もつれ”の状態にあったとすればどんなふるまいを見せるのか。まさに“シュレーディンガーの時計”とも言える思考実験を今回研究チームは行ったのである。

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■「量子力学と相対性理論が融合するまれな機会」

 研究チームは“量子もつれ”の状態にある2つの原子時計の、一方を動かさずに設置し、もう一方を毎秒数メートルで移動させることで、アインシュタインの“双子”のように「時間の遅れ」を実際に計測できることを解説している。これまでは理論物理学の思考実験であった「双子のパラドックス」を実際に検証できる可能性を示したのである。

「シュレーディンガーの猫」の思考実験で説明されているように、原子が単に一度に2つの状態にあるのではなく、実際には状態の経年変化が異なっているという。「それは“シュレーディンガーの時計”のようなものです」とスミス氏は語る。つまり“生きてもいれば死んでもいる”ネコは、歳も違うことになる。極端に言えば、生前の若い頃のネコと老衰死後のネコが同時に存在していることにもなるのだ。

 オックスフォード大学の物理学者で、今回の研究に関与していないかったヴラトゥコ・ヴェドラル氏は、このアイデアにより、相容れないことで悪名高い2つの物理学分野である量子力学と相対性理論が融合するまれな機会が得られると言及している。

「実際には、量子力学の重ね合わせの原理を、相対性理論の時間の遅れの概念と組み合わせることができます。これはまさにアインシュタインの“双子”ですが、現在は同じシステムに適用されています。それが“ひねり”です。アトムは開始時と同じ位置に戻ってくるので、最終的な状態は本当に素晴らしいものですが、内部的には2つの異なる時間を感じています。それは、歳をとることと若いことの重ね合わせです」(ヴラトゥコ・ヴェドラル氏)

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