猿のミイラ155体が暴いた謎の「プント国」の実態! 古代エジプトと交易か…場所までガチ特定!
「プント国(Land of Punt)」をご存じだろうか。古代エジプト人が交易していた相手国の一つで、ゴールド、香料、象牙、奴隷そして猿などの野生動物を輸出していたという。プント国は「神の国(Ta netjer)」とも呼ばれていたそうだが、長い間、国の正確な場所は不明のままだった――。
■謎の「プント国」特定の鍵を握るのは“猿のミイラ”
この謎のプント国の場所について考古学者の多くは「おそらくエジプト南東で紅海沿岸、現在のソマリア周辺だったのでは」と考察する。しかしながら、地域は政情不安の影響で発掘が進まず、国の存在は伝説的ですらあった。
そんな謎に満ちたプント国だが、最近の研究によりエリアが特定されつつあるという。それは、なんと“猿”のおかげだ。
今回行われた分析方法は、考古学で人骨に用いる技術を応用したという。生物が成長する際には、鉱物が歯、骨、毛髪などに取り込まれる。つまり、歯に含まれる鉱物の原産地を割り出せれば、歯の形成される時期に生物個体が暮らしていた場所を特定することが可能になるのだ。
こうして、古代エジプトの墓77カ所から採取した155体のミイラ化したハマドリアスヒヒの組織からプント国の在り処を導くことに成功した。それによれば、現在のエチオピア、ジブチ、ソマリアの一部、イエメンに絞り込まれたという。研究者は、この幸運を「バブーン・ビート(ヒヒの鼓動)」と呼んで歓迎している。
しかし、なぜヒヒなのか。実は、古代エジプト人はハマドリアスヒヒを崇拝していたからだった。知恵を司る神トトは、時にはヒヒとして表現され神殿に祀られていた。
そして、プント国はハマドリアスヒヒの主要な産出国だ。古代エジプトの壁画からは動物たちが船、ときには陸路でエジプトに輸送される姿が描かれている。古代のエジプト人は生きているヒヒを手に入れるためなら、長旅も厭わなかったようだ。
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