冷戦時代に「サルの頭部移植」を成功させた医師がいたと判明! 「魂の不死」を証明するため… 人間にも試行!?

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「Wired」の記事より

■頭部移植で脳を保存し“魂”を救う

 とりわけ興味深いのは、ホワイト博士は45歳の四肢麻痺患者に接触していたことが記録に残っていることだ。患者はそれまでの人生で起業にも成功し、充実した生活を送っていた人物であったのだが、自分の身体が動かなくなったことでホワイト博士の研究に興味を持っていたというのだ。結局のところはホワイト博士がこの患者を手術することはなかったのだが、史上初の人間の頭部移植手術が実施された可能性はゼロではなかったことになる。

 ブランディ・シラス氏によれば、数百匹ものサルを犠牲にしたことで当時のホワイト博士は動物愛護団体から激しく非難されていたという。そして、結果的に貧しい人々の臓器を奪う可能性のある移植医療についても反対する声も多かったということだ。

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画像は「Unsplash」より

 シラス氏によれば、ホワイト博士はフランケンシュタイン博士タイプではなく、ジキル博士とハイド氏のタイプであったという。つまり二重人格的な側面が強い人物であったというのだ。

 そしてホワイト博士はきわめて弁舌の才能に優れた人物であったことが、動物の権利活動家と行った議論から浮き彫りになっているという。そして、この弁舌の才によって若い時期からのキャリアアップに成功し、多額の研究資金の提供を受けることにつながったという。

 敬虔なカトリック教徒であったホワイト博士は、サルにしたことは人間のための一種の“魂の移植”であると本当に信じていたとシラス氏は指摘している。これは死後の世界の存在を深く信じているホワイト博士にとってきわめて重要であり、頭部移植を通じて人間には魂があり、動物には魂がないことの証明になるということである。ホワイト博士は医師として単に人々の命を救うことができることだけでなく、脳を保存することで魂を救うと考えていたというのである。

 何百匹ものサルを使って頭部移植実験を行っていた“マッドサイエンティスト”が、かつての冷戦時代に実在していたことがこうして広く知られることになったのだが、もちろん今後も頭部移植は注目を集める話題であり、物議を醸すワードであり続けることは間違いない。


参考:「Wired」、ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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