臨死体験で過去の人生がフラッシュバックする本当の理由とは!? 未来が見えた事例も… 研究の最前線がヤバすぎる!
*謹んで立花隆さんのご冥福をお祈り申し上げます。(2021年6月23日 TOCANA編集部)*
死後の世界を垣間見た人々が語る体験の1つに、これまでの自分の人生が走馬灯のように目の前で再現されたという話があるが、科学者はこの“人生レビュー体験”をどう説明するのだろうか。
■死の瀬戸際で起きる「人生レビュー体験」
臨死体験(NDE)をした人々から語られる体験談にはいくつかの奇妙な共通点があるのだが、その中には、これまでの人生が目の前で、まるで早送りの映画を観ているかのように一瞬にして再現されたという体験がある。あの世へ旅立つ前に、我々はこれまでの人生を振り返るのだろうか。
この体験は一部の専門家の間で「人生レビュー体験(life review experience)」と呼ばれているが、いったいこれをどのように説明できるのか。

人生レビュー体験については、1世紀以上も前から語られている。
1892年にスイスの地質学者、アルベルト・ハイム氏が登山中に絶壁から落ちる事故を体験している。この時の落下について彼は「まるで遠い舞台にいるかのように、私の過去の人生全体が多くの場面で演じられていた」と記しているのだ。
また、2005年7月7日の「ロンドン同時爆破事件」で地下鉄乗車中に事件に遭った若い女性、ギル・ヒックスさんは被害後の数分間、心肺停止状態にあった。死の瀬戸際に立っていた彼女は次のように述べている。
「私の人生が私の目の前で上映され、あらゆるシーン、あらゆる幸せな時と悲しい時、私がこれまでにしたことすべてを経験しました」(ギル・ヒックスさん)
ヒックスさんのように人生のすべてをレビューする体験もあれば、人によっては人生の中のいくつかの重要なシーンを見たというケースもある。
多くの臨死体験者に共通する人生レビュー体験について、驚くべきことに科学的研究はほとんど行われていない。それでもいくつかの理論が提唱されているが、当然ながらいずれも暫定的であり、かなり曖昧なものである。
たとえば、イスラエルの研究者のグループは、2017年に「人生レビュー体験は我々の心の連続体として存在し、心理的および生理学的ストレスの極端な条件下において再現される」可能性があることを示唆した。
別の理論は、死に近づくと我々の記憶が突然“逆再生”されるというものだ。これは、非常にストレスの多い、または危険な状況での「皮質脱抑制(cortical disinhibition)」(脳の通常の調節プロセスの崩壊)に関連している可能性があるという。
しかし、人生レビュー体験は通常、皮質の脱抑制に関連する一種の混沌とした経験とは完全に異なり、穏やかで秩序だった経験として報告されている。そして、これらの理論のどれも、そのような膨大な量の情報(多くの場合、人の人生のすべての出来事)が僅か数秒、あるいはもっと短い瞬間に再現されることがどうすれば可能であるのか説明していない。
■サックスを吹いている“未来の自分”
このように、ほとんどの人生レビュー体験は過去の自分の人生が再現されるのだが、興味深いことに“未来を予見した”ケースも報告されている。
英ノッティンガムに住む当時見習い大工だった16歳のトニー・コフィさんは、ある日の仕事中に不幸にも建物の3階から転落した。落下中に時間の流れが大幅に遅くなり、彼の眼前で一連の映像が再現されたという。

「頭の中で、まだ見たことのない子どもたち、そして今では友たちになっている人物など、たくさんの光景が見えました。その中でも一番頭に残ったのは、楽器です」(トニー・コフィ)
落下の衝撃で意識を失ったトニーが病院のベッドで目覚めた時、自分が別人のように感じられたという。そして、落下時に見た映像が数週間にわたって頭の中でフラッシュバックし続けたのである。
映像の中で一番彼の印象に残ったのは、サクソフォンを吹いて楽曲を演奏している自分の姿だった。しかし、それまでのトニーにはサックス演奏の心得は一切なかった。
気になったトニーは、保険で下りた医療補償費の残金で映像に出てくるものと同じサックスを購入して演奏の習得に没頭することになる。
そして現在、トニー・コフィはイギリスで最も成功したジャズミュージシャンの1人となり、2005年と2008年の2回、BBCジャズ賞を受賞している。落下時に見た“未来の自分”が実現しているのだ。
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