チンパンジーと人間の赤ん坊を「兄妹として」一緒に育てたら何が起きた!? 本当にあった悪魔的実験の残酷すぎる結末
チンパンジーの「妹」と一緒に育てられた赤ちゃんが悲劇的な結末を迎えていた。
英紙「Daily Star」(10月14日付)によると、1930年代に比較心理学者のウィンスロップ・ケロッグと妻のルエラは生後7カ月の雌のチンパンジー「グア」を養子に迎え、実子である生後10カ月のドナルドと一緒に人間として扱い育てるという実験を行なったという。その目的はチンパンジーをより人間に近づけるためのものだったが、実験は思いもよらない結末を迎えた。
ケロッグ夫妻は9カ月間、2人を “兄妹”として育て、チンパンジーと人間の子どもの成長を総合的に記録していった。1歳前後になると、簡単な命令に反応するコップやスプーンを使うなどの課題で、グアがドナルドよりも先行していた。この時点での2人の違いは人の認識の仕方であり、グアは服や匂いで人を認識し、ドナルドは顔で人を認識していたそうだ。ただ、大きく異なったのは言語能力だったという。ドナルドは16カ月、グアは1歳を過ぎた頃に言語テストを行ったが、グアはかなりの労力をかけて言葉を教えても習得しなかったが、ドナルドは言葉を話せたという。
日常生活では2人とも子供のように話しかけ、同じようなベッドで寝て、同じようなおもちゃを与え、食事や服の着せ方、罰の与え方も同様にした。ここまでは良いが、夫妻は目的の不明な残酷な実験もいくつか行っていたとも言われている。
たとえば、ドナルドを回転する椅子の上で回し続け、泣き出したら止めるという実験や、銃声のような大きな音にドナルドとグアどちらが早く反応するかというテストも行われたそうだ。また2人の頭蓋骨の音の違いを聞くために、頭をスプーンで叩かれたこともあったという。このような“実験”が1日12時間、週7日行われたというから恐ろしい限りだ。
当初は5年間の実験予定だったが、ドナルドの方がグアから大きな影響を受けてしまい、人を噛んだり、チンパンジーのように這ったり、食べ物を欲しがるとうなり声をあげたりするようになったため実験は9カ月で中止になったそうだ。チンパンジーを人間化することはできなかったが、人間は容易にチンパンジー化してしまった。
その後、グアはフロリダのロバート・ヤーキーズの霊長類センターに戻されたが、ケロッグ家を出てから1年足らずで3歳で亡くなったという。そしてドナルドはケロッグ夫妻が死去してから1年後に43歳で自ら命を絶った。ドナルドの自殺に幼少期の実験が影響しているかは分かっていない。
参考:「Daily Star」、ほか
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