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米無人宇宙船・X-37Bに搭載された極秘技術「マイクロ波送電」とは!? 中国も狙う画期的“無限エネルギー技術”

2021.11.30 12:00

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　マイクロ波“攻撃”はもう古い？人類史に巨大な転換点を作り出す、米中が競う最新のマイクロ波“送電”の実相とは――。

■無人宇宙船「X-37」、秘蔵の実験機材に注目

　昨年5月、アメリカ合衆国、フロリダ州中央部に位置するケープ・カナベラル空軍基地から無人宇宙船「X-37」が飛び立った。米航空機大手のボーイング社が手掛けたこの船は、最長2年に迫る地球外での活動記録を有しつつ、過去5回の航行全てを成功に導いてきた実績がある。

米無人宇宙船・X-37Bに搭載された極秘技術「マイクロ波送電」とは!? 中国も狙う画期的無限エネルギー技術の画像1 — 無人宇宙船「X-37」　画像は「Wikipedia」より

　6回目となる最新の打ち上げに際し、X-37は宇宙空間における標準的な実験用器材を積み込んでいるほか、ある興味深い装備も搭載していることが公開された。その装備とは今後、無人航空機(UAV)の運用に革命をもたらしうる高出力のマイクロ波発射装置、「パワー・ビーミング・システム」だ。

■補給から解放される無人機

　近年、とりわけ軍事上の役割において、UAVの重要性は拡大の一途をたどっている。2001年のアフガニスタン紛争を皮切りに、搭乗員を危険にさらすことなく偵察や爆撃などの任務を実施できるUAVは、日夜多くの戦場に投入されており、もはや物珍しい存在ではなくなった。

　自律機動が可能で、安全で、価格も有人ステルス機の数十分の一に留まる、という運用面での利便性が極めて高いUAVだが、燃料補給の度に大量の資材や人員が配備された前線基地や航空母艦に引き返す必要があり、それゆえ活動範囲に制限が残されてしまう。この問題を一挙に解決しうる鍵となるの技術こそ、前述の「パワー・ビーミング・システム」である。

　SFめいた響きのあるマイクロ波の送受信が、一体どのようにしてUAVを燃料補給から解き放つのだろうか？

米無人宇宙船・X-37Bに搭載された極秘技術「マイクロ波送電」とは!? 中国も狙う画期的無限エネルギー技術の画像2 — 「Daily Star」の記事より

■“UFO”めいた外観は必要なし！

　原始的なレーザー推進研究は1980年代に始まっており、当時の科学者たちは円錐形の「ライトクラフト」に光線の照射のみで揚力を与えて数十メートルの距離を飛行させることに成功していた。

米無人宇宙船・X-37Bに搭載された極秘技術「マイクロ波送電」とは!? 中国も狙う画期的無限エネルギー技術の画像3 — 「Daily Star」の記事より

　しかし、いま実用化が期待されている技術は上記の実験内容とは全く異なっており、高出力のマイクロ波を直に推進力として用いることはなく、「レクテナ」と呼ばれる受信装置を介して電力に変換し、バッテリーに蓄えるという順序に従う。この方法であれば、革新的な空の飛び方を模索する必要はなく、ローターやプロペラといった既存のメカニズムをそのまま活用できる利点があるのだ。

　この研究が実れば、UAVは機体の修理や武器の整備を除き、際限なく飛行を続けることができるだろう。2014年に発表された米海軍研究所のプラズマ物理学部門の責任者であるトーマス・メルホーン博士の論文によると、それによって生まれる変化は海軍や国防総省の人員削減に役立ち、監視・偵察・情報伝達といった要因を激変せしめると結論付けられている。

　ただし、UAVへ安定的にマイクロ波の供給を行うにあたっては課題も残されている。2011年に実施された米国のシンクタンクの調査では、マイクロ波は大気内の雲によって干渉を受けるため、UAVの飛行経路に制約をもたらす恐れが生じる。

　加えて、マイクロ波の発射地点は宇宙に設けることが想定されるも、その役割を引き受ける低軌道衛星は高速で地球を周回しているため、複数の衛星間の電力供給範囲を横断する緻密な飛行スケジュールを整えない限り、UAVへの切れ目のないマイクロ波供給は難しいのが現状だ。