30年間ベジタリアンだった女性、妊娠中に体にヤバイ異変! 突然ハンバーガーを食べたくなり、肉屋に転身、その後も凄い!

 確かにジョナスさんの主張は『動物の解放』と照らしても正しい。自由放牧されている家畜は工場畜産の家畜よりも遥かに苦痛が少なく、殺されるまでは快楽の総量が最大化されていると考えられるからだ。

 そこで、ジョナスさんと夫のスチュアートさんは小さな牧場を開き、敬意を持って食用の豚を育てることを決めたのだという。

 ただし、自由放牧された動物が快楽を享受できるのは殺されるまでである。動物の命を奪うことの道徳的問題は残る。このことはジョナスさんにとっても容易なことではない。そこで、豚たちのストレスを軽減するため、彼らにはこれから死が訪れるとは分からないように葬るのだという。恐れも痛みもない状態で豚を殺すこの方法は「最も正当化できる方法」だとジョナスさんは語っている。

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画像は「getty images」より

 実は『動物の解放』においても、自由放牧されている家畜を苦痛なく殺すことが1つの可能性として言及されている。著者であるオーストラリア出身の哲学者ピーター・シンガーは、自由放牧された家畜を苦痛なく殺せるならば、その肉を食べることに何の倫理的問題もないとする。ただし、このことが許されると、人間はより安易な方法を見つけ出し、条件を緩和させる恐れがあるため、最初の段階からあらゆる肉食は避けるべきだと議論を展開している。

 ジョナスさんの方法は倫理的にほぼ完ぺきだが、もしジョナスさんが今後利益を優先し、“自由放牧”や“苦痛なき死”の条件を緩和させるような態度変更があれば、忌まわしき工場畜産の第一歩を歩み始めることになる。

 ただ、確固とした決意をもったジョナスさんなら心配はないだろう。彼女は肉を食べるようになったが、その心はどんな菜食主義者よりも菜食主義者らしい。ジョナスさんのように家畜に対して敬意を持つ牧場が、少しでも工場畜産に取って代わるようになったら、これほど素晴らしいことはないだろう。

参考:「New York Post」、「シンガーの動物解放論(長岡成夫)」、ほか

TOCANA編集部

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