24の元機密資料から見るアメリカの実像! UFO、エリア51、洗脳実験、原爆開発の裏側(前編)

 機密指定が解除された政府文書からかつてのアメリカの実像が浮かび上がってくる――。空飛ぶ円盤についての報告書からマインドコントロール実験まで多岐に及ぶこれらの文書だが、はたして東西冷戦時代のアメリカは何を考え、何を必要とし、何を恐れていたのか。24の機密指定解除文書から仄見える冷戦下のアメリカの実像とは。前編では疑惑の宝庫である“エリア51”や原子爆弾開発の裏側などにフォーカスする。

プロジェクト1794

 2012年に米空軍はソ連の爆撃機を撃墜するように設計された空飛ぶ円盤型の航空機を製造するための秘密計画の記録を含む、一連の文書の機密を解除した。

「プロジェクト1794」と呼ばれる野心的なプログラムは1950年代に開始され、エンジニアのチームは高高度を超音速で移動できる円盤型の航空機を開発する任務が課されていた。つまり“空飛ぶ円盤”が一度は米軍の手によって作られようとしていたのだ。

 機密解除された文書によれば、円盤型航空機はホバリングが可能であると共に最高速度はマッハ4で、高度3万メートルの高高度を飛行する性能が求められていた。プロジェクトの推定費用は今日の米ドルで2600万ドル(約33億円)以上である。

 鋭意開発が進められた同プロジェクトだったが、空飛ぶ円盤の設計が空気力学的に不安定であり、高速 (超音速は言うまでもなく) では制御不能である可能性が高いことがテストで示された後、1961年12月にプロジェクトの中止が決定された。

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空飛ぶ円盤の試作機「アブロカナダVZ-9アブロカー」 画像は「Wikipedia」より

プロジェクト・アイスワーム

 東西の緊張が最高潮に達しつつあった1960年代、米陸軍はグリーンランドの氷床の下に一連の移動式核ミサイル発射施設を建設するという極秘任務に着手した。目的はソビエト連邦内の標的を中距離ミサイルで攻撃できる手段を確保するためである。

 このプログラムは「プロジェクト・アイスワーム」というコードネームで呼ばれていたが、それに先駆けて米陸軍は「キャンプ・センチュリー」と呼ばれる北極の科学調査プロジェクトを開始し、調査の拠点となる極秘基地をグリーンランド内に設営した。ちなみに当時の領有国であるデンマーク政府には秘密のまま計画が進められた。

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画像は「Wikipedia」より

 極秘基地は移動可能な原子力発電施設を有し、研究室や備品倉庫、通信センターのほかにも診療所やレクリエーションホールなども備わっていた。

 秘密基地は7年間運営されプロジェクト・アイスワームも進められていたが、周囲の氷床が移動して施設が不安定になったこともあり、1966年に中止となった。放棄された設備の残骸は今も北極の雪の下に埋もれていて環境汚染の面でも問題視されている。

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