1897年「オーロラ事件」は世界初のUFO墜落事件なのか? 追跡調査で宇宙人の墓石を発見!?

――「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が歴史的UFO事件を深堀り。アーノルド事件からCBA事件までを振り返る。

第1回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(1) 
第2回:UFO史を紐解くー「ケネス・アーノルド事件」(2)
第3回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(1)
第4回:UFO史を紐解くーケネス・アーノルド事件以前の目撃例(2)
第5回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(1)
第6回:日本UFO研究事始めー「宇宙機」とその時代(2)
第7回:戦前に設計された円盤形航空機「ディスコプター」とは?
第8回:UFO=宇宙人の乗り物説は日本発祥だった!?
第9回:UFO研究の先駆者ドナルド・キーホー概説

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右:フランク・スカリー(画像は「Getty Images」より)

 キーホーの『空飛ぶ円盤は実在する』に続き、1950年9月に出版されたのが、フランク・スカリー(1892~1964)の『UFOの内幕』である。

 スカリーはアメリカのジャーナリストで、キーホーが記事を掲載した『トゥルー』誌のライバルともいえる、『バラエティ』という雑誌に記事を連載していた人物だ。それまで特にUFOを専門としていたわけではなかったが、『バラエティ』誌1949年10月号と11月号に、1948年にニューメキシコ州アズテックにUFOが墜落し、乗員である宇宙人の死体や機体が軍に回収されたという、いわゆるアズテック事件についての記事を掲載している。時期的には、キーホーが『トゥルー』に「空飛ぶ円盤は実在する」という記事を載せるより、スカリーの方が少しばかり早かったわけだ。

 墜落円盤の噂については、1949年12月31日、アメリカのSF作家フレッチャー・プラット(1897~1956)も言及している。この時彼は、ある科学雑誌が開催した会合において、「UFOは他の惑星からやって来たものであり、アメリカの官憲が墜落したUFOとともに乗員の死体を手に入れた」旨を述べている。このプラットの発言は日本でも、1950年1月3日付『読売新聞』朝刊に報じられている。

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『UFOの内幕』(たま出版)

 プラットの指摘する事件がスカリーの述べるものと同一かどうかは不明だが、『UFOの内幕』は、前年の記事の内容を膨らませて単行本として出版したものである。

 アズテック事件については、残骸・遺体回収事件としては初めて世間に公開されたものとされるが、未確認飛行物体の墜落という意味では、アズテック事件より50年も前の1897年4月17日、テキサス州オーロラで、幽霊飛行船が墜落したという事件が報道されたことがある。

 オーロラはテキサス州の中心都市ダラスから北西70キロほどにある小さな町である。事件は、アメリカ全土で飛行船のような形の謎の飛行物体が頻繁に目撃されていた最中、1897年4月19日にダラスの地元紙『ダラス・モーニング・ニュース』に報道された。寄稿したのは、オーロラ在住のS・E・ヘイドンという人物であった。

 記事によれば4月17日午前6時頃、オーロラの町の南の地平線近くに謎の飛行物体が出現し、極端な低空飛行を続けながら町の上空へ侵入、町の北外れで丘の上に立っていたプロクター判事の風車小屋に激突し、大爆発を起こしてばらばらになったという。

 騒ぎに気がついた村人が丘の上にやってきたところ、アルミニウムと銀を混ぜたような見知らぬ金属片が飛び散っており、そのただ中に非常に醜い姿をした不思議な生き物の死体が転がっていた。この地の米国信号局の警官T・J・ウィームスという天文の専門家が、死体は火星人のものであったという意見を表明した。死体と一緒に、奇妙な解読不能の文字が書かれた紙片も見つかったという。死体は南部の墓地にある節だらけの古いオークの木の下に埋められた。

 この事件は長いこと忘れ去られていたが、1967年にイギリスのUFO雑誌『フライングソーサー・レビュー』がこの事件を紹介したことから注目を浴び、有名なJ・アレン・ハイネックが友人をオーロラに派遣した。しかし現地の住民に聴取するとプロクター判事の畑には風車はなく、町の墓地にも被葬者のわからない墓はないということだった。さらに当時から住んでいた人物も、誰も事件を知らなかったという。

 1973年3月になると、『ダラス・タイムズ・ヘラルド』紙記者のビル・ケイスがオーロラ事件に関する連載を始め、事件はふたたび脚光を浴びた。ケイスはチャーリー・ステファンやマリー・エバンスといった事件の目撃者の談話を掲載し、この時期には奇妙な手作りの墓石も発見された。

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発見された墓石(画像は「auroratexas.gov」より)

 そして6月14日、この墓石のある墓が盗掘されるという事件が発生した。盗掘のため掘られた穴の中には、何もなかった。おまけにステファンやエバンスもケイスの記事に関し、「自分たちはそのようなことを言っていない」と抗議したという。

 こうして現在、UFO研究家の大多数から、オーロラ事件は記事に困った地方紙のホラ話とみなされている。だが、墜落事件そのものは起きていたという主張も根強く残っている。

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オーロラ墓地案内板(画像は「Wikipedia」より)

 ともあれ、現在オーロラの墓地の案内板には、1897年に宇宙船が墜落し、死亡した乗員が埋葬されたとも言われているという一文が刻まれており、少しは町おこしに活用されているようだ。

文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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