9人怪死「ディアトロフ事件」はスラブ雪崩で説明可能!? 眼球の欠損と放射能汚染の謎は…?
ホラー映画の題材にもなった怪死事件が60年以上前のロシアで起こった。雪山を訪れた9人の大学生らは、何者かに襲われたかのように下着姿のまま眼球や舌を抉られた状態で発見された。中には奇妙な熱傷を帯びた人物もいたことから核兵器の実験に巻き込まれたのではないかという憶測も飛び出したが、現在まで明確な原因はわかっていない。
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※ こちらの記事は2021年2月15日の記事を再掲しています。
ウラル工科大学学生と卒業生、男性7人、女性2人からなる上級者スキーヤーのグループは、1959年1月27日、北ウラル山脈の支脈ホラチャフリからオトルテン山へと横断することを目的に14日間の遠征に出発した。60年後の現在まで語り継がれるミステリー、「ディアトロフ峠事件」は、こうして幕を開けた――。
謎の冬山遭難死亡事故「ディアトロフ峠事件」に科学のメスが入る
彼らは、最終地点であるヴィジャイ村から連絡を入れるはずであったが、何日待っても連絡は来なかった。
捜索隊がホラート・シャフイル山に送られた。その結果、まず初めに5人の遺体が発見され、2カ月後には残り4人の遺体が見つかった。遺体の状態は実に奇妙で、ろっ骨や頭蓋骨を骨折した遺体、下着姿で裸足の遺体、眼球や舌がなくなっている遺体が見つかった。
冬山の経験豊富なグループが、下着姿のまま靴を履かずにテントから逃げ出した事件は、世間の注目を呼んだ。
ソビエト当局は報告書で、9人の死亡者は全員「克服不可能な未知の要素」によって死亡したと結論付けた。
しかしこの発表に満足する者はおらず、エイリアンによる誘拐説をはじめ、超常現象、雪崩、テント内の火事、雪男や原住民による襲撃、ロシア軍による秘密兵器のテストまで、約75の奇妙な陰謀説が現在まで唱えられてきた。
そして今回、スイス連邦工科大学ローザンヌ校と同チューリッヒ校の科学者たちは、コンピューターモデルと3Dスキャンを駆使し、ディアトロフ峠の謎に挑んだ。
その結果、この惨劇は、「スラブ雪崩(板状に圧縮された表層の雪が崩れ落ちてくる雪崩)」によって引き起こされた可能性が高いと発表した。
同大学雪崩シミュレーション研究所責任者であるジョアン・ゴーム博士は、「雪崩と局所地形に関するデータを使用したところ、小さなスラブ雪崩が緩やかな斜面で発生した場合、痕跡がほとんど残らないことを証明しました」と述べている。
またこのモデルでは、学生グループがテント設営のために雪の斜面を削ってから、9時間半から13時間半の間に雪崩が発生したことが示されている。これは、事件の発生時刻に関する証拠と一致する。
「スラブ雪崩」に巻き込まれたのか
そしてゴーム博士は、コンピューターシミュレーションの助けを借りて、この雪崩に巻き込まれた人体に生じる可能性の高い外傷を調べた。シミュレーションは比較的小さなスラブ雪崩でさえ、胸部および頭蓋骨の損傷につながる可能性があることを示唆していた。
特に、学生たちは雪とスキーで硬く補強したテントの床の上で寝ていたので、雪崩に巻き込まれた時の衝撃は通常より大きかったはずだという。
そして研究者チームは、事件で起きたスラブ雪崩は、この斜面に作ったテント設営のためのくぼみに一因があると言う。学生たちは強風から逃れるために、山の斜面の雪を掘って平らな面を作り、テントを設営した。また、他にも山の地形、氷まじりの強風などの組み合わせが「スラブ雪崩」を引き起こしたと考えられると結論づけた。
さて、雪崩の後に何が起こったかであるが、テントはナイフによって切り裂かれていた。なぜ彼らが大事なテントを切り裂いたのかについては、今まで大きな謎であったが、「雪崩につぶされたテントを抜け出すためにやったことではないか」と研究チームは推測する。そして学生たちは雪の中、山をやみくもに駆け下りた。ほとんど下着姿で発見された死体は、服を着る時間がなかったことを物語っている。
結果、ほとんどの者は低体温症で死亡したが、「雪崩による骨折が死因となった人もいた可能性がある」と研究者は述べている。
その他の謎、「放射射能汚染が確認された2遺体」、「一部の遺体の眼球や舌がなくなっていた」については、研究者は何も述べていない。
この「ディアトロフ事件」には、60年後の現在でも情報交換をしあう熱狂的なグループがいくつも存在する。また、2013年にはこの事件を題材にしたSFホラー映画も公開されてもいる。
今回の研究をもってしても全ての謎が解けたわけではなく、今後も本件に関する様々な考察が飛び交うことになるだろうが、今までの中では最も説得力のある推測と言えるのかもしれない。
参考:「Daily Mail」「CNN」「Nature」ほか
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2024.10.02 20:00心霊9人怪死「ディアトロフ事件」はスラブ雪崩で説明可能!? 眼球の欠損と放射能汚染の謎は…?のページです。陰謀論、遭難、雪崩、ディアトロフ事件などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで