コカインバカ一代… 売人に追われ、銃で撃たれてもキメ続けた男が衝撃の半生を語る「その瞬間、俺はランボーになった」=英

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画像は「Getty Images」より

 幼少期のトラウマから逃れるため、ハードドラッグに手を染めたイギリス人の男が、クラック・コカインでハイになりすぎて「銃で撃たれてもまったく痛みを感じなかった」衝撃の体験談について語っている。

 リー・マーヴィン・ヒッチマンの人生は、幼少期から荒れに荒れていた。生まれたとき、両親は共に服役中で、彼自身もすぐに数多くの軽犯罪に関わることとなる。彼が生まれ育ったマンチェスターの一角は、その治安の悪さから「ガンチェスター」と揶揄されるような土地であった。ヒッチマンは、自らが生まれ育った環境についてこう振り返る。

「街の小さなエリアを巡って、2つのギャングが絶えず争っていた。それぞれの縄張りを分けていたのは、1本の道路。それも、大通りではなく路地裏の小さな通りだ。」

 ヒッチマンいわく、彼はこの頃からクラックに依存しており、地元のディーラーと交渉して売人として活動することになった。しかし、商売はうまくいかなかった。商品のクラックをヒッチマンがすべて自分で使用してしまったからだ。

 言うまでもなく、商品に手をつける行為は売人としてご法度だ。失態はすぐにディーラーの耳に入り、捕らえられたヒッチマンは彼の前へ引き出されることとなった。

「マーヴィン、俺の金はどこだ?」

 そう言いながら凄むディーラーに対し、ヒッチマンはあっけらかんとこう答えた。

「兄貴、正直に言うよ。(ネタは)全部使っちまった。」

 普通ならこの時点で頭をブチ抜かれてもおかしくないが、驚くべきことにディーラーはヒッチマンに二度目のチャンスを与えた。ただし、今度しくじったら命はないという警告を添えて……。

「多分、ヤツは俺を助けるつもりでそう言ってくれたんだと思う。もちろん、自分のメンツを保ちたいという思いもあったんだろうけどね。」

 九死に一生を得たヒッチマン。こうなれば、心機一転して商売に励むかと思いきや、彼はまったく懲りていなかった。そう、商品のクラックをまたしてもすべて使いこんでしまったのだ。

 こうなってしまえばもう言い訳はきかない。ヒッチマンは数日の間、ディーラーから逃げ回ることに成功したものの、クラックを買い足しに街の中心部にあるナイトクラブへ出かけたのが命取りだった。クラブの外で、ヒッチマンはディーラーとハチ合わせてしまう。

「ヤツは俺を見るなり『マーヴィン、ちょっとこっちへ来いや』と手招きしてきた。クソッ、俺はここで撃ち殺されるんだって直感したね。」

 ヒッチマンは撃たれる覚悟を決めた。せめて、致命傷にならないことを祈りながら……。

「ヤツは俺を裏路地へ連れ込むなり、懐からクソッタレのリボルバーを引き抜いて『バン! バン!』だ。2発目の銃弾が俺の足を貫通したのがわかった。そこから先のことはよく覚えていないが、必死に逃げて、なんとか友達の待つタクシーまでたどり着くことができたんだ」

 友人は満身創痍のヒッチマンを見るなり「お前、撃たれたのか!」とパニックに。ヒッチマンは友人まで巻き込んでしまうのを恐れ、彼を車中に押し込み、運転手に向かって叫んだ。

「車を出してくれ! 俺なら大丈夫だ、“ランボー”をやる!」

 タクシーの運転手は瞬時に状況を理解し、車を出してくれた。そしてヒッチマンは映画『ランボー』で見たように、負傷した足をリボンで縛り止血を試みた。

「興奮していたせいもあるが、その瞬間は完全にランボーになりきっていた」というヒッチマン。タクシーはすぐに病院へ急行……することはなく、なんとヒッチマンは運転手に別のナイトクラブへ向かうよう指示。ジャンキー2名は店内のトイレに駆け込むやいなや、すぐにクラックを炙り始めた。

「キメた瞬間、心臓の鼓動が急激に早くなるのを感じた。そのせいか、血がどんどん噴き出しちゃってね……。困ったよ。」

 そのとき、トイレにひとりの女性客が入ってきたが、血まみれになった床や壁を見て即座にセキュリティに通報。セキュリティは面倒見がよく、ヒッチマンをわざわざ病院まで搬送してくれたという。呆れたことに、その際ヒッチマンはセキュリティから20ポンド(約3650円)を借金し、さらにドラッグを購入したという。

「それほどまでに、俺はぶっ壊れていた。正しく狂っていた、というべきかな。とにかく生きていてよかったけど、その時は『これからどこでクラックを買おうか?』と考えていたよ(笑)」

 病院で体内を洗浄してもらい、穴の空いた脚に「でっかいタンポンみたいな綿」を詰め込まれて退院したヒッチマン。それからナイトクラブへ出かけるたびに「よう、これ見てみろよ!」と脚からタンポンを引き抜く“一発芸”を見せてまわり、周りの客から金をせびっていたという。

「救いようのない」という言葉は、まさにこの男のためにある……と思うかもしれないが、ヒッチマンはその後、なんとかクラックの依存を断ち切ることに成功した。現在はInstagramで活動しているほか、自伝を出版している。タイトルはこうだ……

『ムショ生まれ:俺がいかにして銃、ナイフ、刑務所、クラック中毒、マンチェスターギャング、そして犬の襲撃から生き延びたか』

 興味を惹かれるタイトルではあるが、本の印税がコカインに変わらないことを祈るばかりである。

参考:「Daily Star」ほか

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文=ゼロ次郎

2015年からライターとして活動。 得意ジャンルは国内外のB級ニュースや珍事件。「TOCANA」 「実話ナックルズ」「日刊SPA!」を中心に執筆しているほか、 南阿佐ヶ谷のライブハウス「Talking Box」で、出版関係のトークイベントを毎月開催中。
X: @zerojirou

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