【悲劇】ロシアの電車内で“謎の病気”が発生、百人数十人の子供が発症、少女が死亡

 ロシア国内でも“謎の肺炎”の流行なのか――。列車で移動中のウクライナ人の子供たちが突然、肺炎に似た症状を発症して12歳の少女が死亡した。

■移動中の列車内で謎の感染拡大

 中国の子供たちの間で流行しているといわれている“謎の肺炎”が不気味だが、ロシアでも不穏な悲劇が起きている。長距離列車で移動中の子供たちの間で謎の症状が感染拡大し、少女1人が死亡する出来事が起きたのだ。

「Daily Star」の記事より

 2022年2月24日にはじまったロシアによるウクライナ侵攻だが、ご存知のようにその後ロシア軍はウクライナ領内で支配地域を拡大していった。

 ロシアの手に落ちた支配地域のウクライナ人の子供たちがロシア国内の“サマーキャンプ”に連れていかれるという現象が各地で起きた。これが支配地域の子供たちの事実上の“誘拐”であるとの報道もその当時伝えられている。

 ウクライナ東部のルハンシク州もロシア軍によって一度はほとんどの地域が掌握され、地域のウクライナ人の子供たちの少なくない数が、疎開を名目としてロシア国内の“サマーキャンプ”に送られたのだった。

 西シベリア・チュメニ地方にあるキャンプ施設にいたウクライナ・ルハンシク州出身の子供たちは先日、長距離列車に乗ってアドラーまでの5000キロ近い旅路の途中、その多くが急性呼吸器ウイルス感染症の兆候を見せ、そのうちの7人がきわめて高熱に苦しめられた。

 列車はペンザ地方で急遽停車し、医師らが急いで列車に駆けつけたが、残念ながら1人の少女を救うことはできなかったのだ。報道によると彼女は39度の高熱に見舞われていたという。

 報告書によると、夕方に少女は青ざめ、意識を失ったという。

 駆けつけた医師たちは彼女を救おうとし、救急車が到着するまで人工呼吸と心臓マッサージを行ったが、蘇生させることができず、この少女は死亡したのだった。

 その後列車はサラトフ地方のバラショフ駅に到着し、合計126人の子供がサラトフの感染症病院に緊急搬送された。

「Daily Star」の記事より

■子供たちもまた戦争の犠牲者

 ロシア連邦消費者権利・人間福利保護管理庁はこの事件は「特別管理」下に置かれていると述べた。保護者が子どもの様子を確認できるように、24時間対応のホットラインも設置されたという。

 子供たちは西シベリアのキャンプ施設にいたため、まだそこに滞在している子供たちの診断が行われたと共に、原因を突き止める調査が開始されたという。

 サラトフ地方のローマン・ブザルギン知事は「子供たちに同行した医師と到着した救急隊は、現場で必要なあらゆる措置を講じた。ロシア連邦消費者権利・人間福利保護管理庁は即座に現場に移動検査室を配備した。子供たちは全員医師の検査を受けた」と述べた。

「Daily Star」の記事より

 地元の報告ではこの一件はインフルエンザA型によって引き起こされた可能性があると示唆されているが調査は進行中である。

 ロシアはウクライナの子供たちをロシアに移住させたことで強く批判されている。

 ルハンシク州は2014年にウラジーミル・プーチン大統領によって一度占領され、今回のウクライナ侵攻でもいったんロシア軍の支配地域となった。

 現在、国際世論や人権団体の活動によって、こうした“サマーキャンプ”に連れて行かれた子供たちの“連れ戻し”が進められているのだが、今回の一件はそうした動きの最中の悲劇となってしまった。この子供たちもまた戦争の犠牲者であることは間違いない。

参考:「Daily Star」、「The Sun」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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