「ありえなさすぎる…!」世界で起こった“最恐”医療ミス5選!
たびたび目にすることがある医療ミスの報道、治療目的で訪れた病院での医療ミスによって命を落とす、健康を害される、というのはただでさえ負担の多い病気の状態において、悪夢としかいえないだろう。
もちろん日本だけでなく海外でも医療ミスは起きている。今までにどの様な事例があるのか、今回は5つ取り上げて紹介したい。
【1】適合するはずがない臓器の移植
なんらかの事情で臓器に異常はあれども、その臓器自体を他人から移植すれば回復が見込めるという人は、アメリカだけでも12万人以上いるといわれている。
17歳のジェシカ・サンティヤンもそのひとりで、彼女は心臓と両方の肺の移植を希望していた。移植手術では、適合する臓器を提供されずに亡くなる人も多いが、彼女は運よく手術を受けられることとなった。
念願の手術は、名門デューク大学病院で行われ、手術自体は成功した。だが、ジェシカの体は移植された新しい臓器を拒絶してしまう。他人の臓器を移植した体が受け入れないということはまれに発生する。しかし、彼女の場合は、病院側の単純な確認ミスによって起きてしまった。なんと、ジェシカの血液型はOだったにもかかわらず、臓器ドナーの血液型はAだったのである。本来であれば10人以上の関係者が確認をするはずだが、関係者がその確認作業を怠ったため、このような人為的なミスが起きてしまった。
病院はこのミスを11日間も隠し続けたが、その後新しいドナーを探すためにやっと事実を世間に公表。ジェシカはすぐさま新たな移植手術を受けたが、残念なことに脳死状態となり、最初の手術から15日後に生命維持装置を外されてしまった。その後、ジェシカの母親は病院側が治療を放棄し、自然死に見せかけようとしたのではないかという疑念を持っていると語った。
【2】データの取り違えが招いたミス
口に違和感があるから歯医者でちょっと見てもらおう、単純にそう思って受けたレントゲン検査で余命宣告を受けることになってしまった。
この不運な女性はキム・タット、34歳。医師は彼女の顎に癌腫瘍が育ちつつあり、余命3~6カ月であること、そして手術によってそれを切除しても余命は数カ月伸びるだけだろうと告げた。また、この手術を受ければ彼女の左側の頬周辺を無くなってしまうという。だが、まだ10歳と12歳の息子を抱えていた彼女は少しでも余命を伸ばすためならば、と合計5回もの手術を乗り越えた。
歯の治療から余命宣告、そして突如5回の手術が行われ、顔まで変形してしまう。彼女の心的、肉体的負担は想像にかたくない。だが、彼女は勇敢にも病気に向き合い、治療を続けた。
そして、診断を受けてから3カ月が過ぎたある日、重い足を引きずりながらも彼女は医者の元へ、現在の自身状態を聞きに行った。
だがそこで聞かされたのは、なんと“始めからがんはない”という衝撃的な事実だった。彼女に宣告をした医師が見ていたのは、他人のデータであったことが、全てが終わった後で発覚したのだ。彼女はなんの問題もなかったにも関わらず、あまりにも大きい負担を何カ月も強いられ、そしてこの先もずっと残る傷を負わされたのである。
【3】トラウマを解消するはずだったはずが…?
医療は様々な形で施される。体にメスを入れることもあれば、投薬の場合もある、そしてカウンセリングの様にセラピストと関わることによって行われる治療もある。
幼少期に起きた不幸な出来事に起因する不安や依存症に悩まされていたポール・ロザノは、カウンセリングに助けを求め、ハーバード大学医学部出身の女性セラピスト、マーガレット・ビーン=ベイヨッグの元を訪れた。そして彼女に幼少期、母親から受けた性的虐待というつらい記憶について語った。
ビーン=ベイヨッグは、ポールの告白を受け、彼の幼少期を再現し、母と築いた不幸な関係を幸福なものへと再構築し、トラウマを取り去る方法を提案。治療を開始した。
治療内容はポールが赤ちゃんとなり、ビーン=ベイヨッグが母親となるという疑似親子関係を結び、彼女がポールを赤ん坊のように抱き寄せ、『愛しているわ』『ベイビー』と呼びかけ、ポールに対して「『ママ、とっても愛しているよ』と10回言いなさい」などと要求するといったものだった。
この治療にはさまざまなシナリオが用意されており、初期は上記のように疑似母子体験であった。だが、このシナリオが徐々に“異様”な内容へと変わっていく。
ビーン=ベイヨッグはポールと自分を登場人物とした官能小説のような性的内容を含むシナリオを書き、これをポールに強要するようになっていったのだ。そしてついに、“彼女の治療”は、実際に性的関係を結ぶ寸前のところまでエスカレートしたという。当初の目的とはまったく違う“治療”の犠牲になったポールは、残念ながらそれから5年後に自ら命を絶ってしまった。
【4】目が覚めると突如巨乳に変身!?
アレキサンダー・バエズは、ミスターユニバースなどで優秀な成績を収めたボディービルダーだった。
1999年、美意識の高い彼は肉体の美を保つため、胸板を厚くする整形手術を受けるため、フロリダ州マイアミのとあるクリニックを訪れた。手術後、目を覚ました彼は自分の厚く、美しく、男らしくなったはずの胸元に目をやった。だが、そこには予定通り膨らみはあったが、男らしいそれではなく、丸く女性らしいおっぱい(Cカップ)ができていたのだ。
アレキサンダーはすぐに警察に通報。彼を執刀したレイナルド・シルベステという男性の追跡が始まった。警察による調査の結果、なんとシルベステは何の資格も持たない、もぐりの医師だということが発覚。さらに彼は、麻酔に動物用のものを使い、手術機器はキッチン用具で代用していたことも判明した。
また、アレキサンダーのほかにも2人の女性が被害を報告したが、被害者の多くはシルベステのあまりにも雑な手術による姿のせいで名乗り出ることすらできなかったのではないかと推測された。このニュースは整形手術が非常に盛んである土地、マイアミで起きたということもあり、大々的に報道され人々に衝撃を与えた。
シルベステが経営していたクリニックで働いていた麻酔科医とアシスタントは逮捕され、シルベステはその5年後の2004年、中南米ベーリーズで逮捕された。彼はそこでも整形手術を行っており、患者は数百名にのぼるのではないかといわれている。
【5】脳血管検査の翌日に開胸手術開始!
病院には検査として入院するのでさえ、緊張するものだ。
67歳のジョアン・モリス(個人が特定されないように仮名で報道されている)も、脳血管の検査のため入院していた。検査するだけだったため、彼女はその翌日には退院するという運びとなっていた。ところが、検査が終わった後、彼女が連れて行かれたのは今までとは違う病室。そして、明日には退院だったはずだったのが、突如、手術室に連れて行かれ、心臓の手術が始まってしまったのだ。
手術開始1時間後、麻酔で眠らされた彼女の胸や鼠蹊部は開かれ、動脈にはチューブが繋げられていた。だがその時、
「私の患者に何しているんですか!?」
と、別の科の医師から焦った様子で手術室に連絡が入ったという。彼女は心臓手術をする予定の患者と間違われ、手術を行われてしまったのだ。
医師の指摘により、やっと手術は中断され、彼女の胸は閉じられ、病室に戻された。幸いにも、その後彼女に弊害が起こることはなかったというが、そのまま手術が進んでいたら健康な心臓に傷をつけられていたかもしれない。
以上、海外で起きた5つの医療ミスを紹介したが、多くは関係者間のコミュニケーションミスやその稀薄性により、防げるはずであったのにもかかわらず起こってしまった不幸なミスだ。どの様な事例があるかを共有することによって、今後この様なことが起こらないことを祈るばかりである。
(文=有吉杏子)
参照:「nytimes.com」、「cracked.com」、「unos.org」、「oddee.com」
※当記事は2015年の記事を再編集して掲載しています。
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