地球を守る9つの“シールド”、7つが限界突破… 科学者が警告する「後戻りできない転換点」

地球を守る9つの“シールド”のうち7つめが突破された――。今のままでは残る2枚の突破も近いという。
■地球を守る“シールド”がまた1つ突破される
地球はこの数千年にわたり、人類の文明が繁栄できる安定した環境を保ってきた。しかしその安定は間もなく過去のものになるかもしれない。
新たな科学的評価レポートによると、地球の9つの重要な“シールド”のうち7つが安全ラインの限界を超え、取り返しのつかない大規模な環境破壊を引き起こすリスクが急速に高まっていることが報告されている。
ドイツのポツダム気候影響研究所(PIK)の「Planetary Boundaries Science Lab」が作成したレポート「2025 Planetary Health Check」は、地球の“健康状態”が悪化していると結論付けている。
「地球の支援システムの4分の3以上が安全圏にありません」とPIK所長でレポートの共著者であるヨハン・ロックストローム氏は述べ、「人類は安全な活動空間の限界を超えており、地球を不安定化するリスクを高めています」と説明する。
同ラボの研究チームは気候の安定から生物圏の健全性に至るまで、約1万年前に始まった安定した地質時代である完新世の環境を維持するために不可欠な、地球保全システムの9つのプロセスを追跡している。その9つとは次の通りだ。
1.気候変動
2.生物圏の健全性の変化
3.陸域システムの変化
4.淡水の変化
5.生物地球化学的フローの変化
6.新規物質の導入
7.海洋酸性化
8.大気エアロゾル負荷の増加
9.成層圏オゾン層の破壊
今回の2025年度版の地球の“健康診断”では「海洋酸性化」が初めて閾値を破られたリストに加わり、地球を守る9つの“シールド”のうちに7つが破られたことになった。
安全圏内に残っているプロセスは「大気エアロゾル負荷の増加」と「成層圏オゾン層の破壊」の2つだけである。
今回破られた「海洋酸性化」によって、海洋の酸素レベルは低下、海洋熱波が増加し、海洋生態系への悪影響はすでにかなり進行している。多くの魚類にとって重要な食料源である翼足類と呼ばれる小さな巻貝の殻には損傷の兆候が見られ、漁業とその関連産業に従事する数十億の人々の雇用を脅かしている。
海洋学者で環境保護団体「Planetary Guardians」のメンバーであるシルビア・アール氏は海洋酸性化を「地球の安定性を示すダッシュボードに点滅する赤い警告灯」と呼び、「これを無視すれば、私たちの生命世界の基盤そのものが崩壊する危険にさらされる」と述べている。
レポートはまた、これらの危機が相互に関連していることも報告しており、気候変動は生物多様性の喪失を深刻化させ、森林破壊はより深刻な干ばつを引き起こし、海洋汚染は海洋の炭素吸収能力を低減させる。

「惑星の限界同士の相互関係は、地球が局所的にも地球規模でも圧力を受けると、あらゆる場所のすべての人々に影響を及ぼす可能性があることを示している」とレポートの共著者の1人、ボリス・サクシェフスキ氏は指摘する。
安全ラインを越えたからといって直ちに地球が破滅するわけではないが、グリーンランドの氷床の崩壊やアマゾンの熱帯雨林の枯死など、後戻りできない壊滅的な転換点に到達するリスクが大幅に高まる。
悲惨な“診断結果”にもかかわらず、レポートは過去の成功例を挙げることで一縷の望みを与えている。モントリオール議定書によるオゾン層の回復と、地球規模のエアロゾル汚染の改善傾向は、協調的な国際的行動が効果を発揮することを証明している。
地球が本来持つ回復力は失われていないはずであり、我々の取り組みによって地球環境の修復はまだ可能だが、しかしそのチャンスの扉は急速に閉ざされつつあると科学者らは警告する。引き続き待ったなしの環境保護活動が求められている。
参考:「ZME Science」ほか
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