専門家が語る、宇宙の奇妙な「時間の呪い」がエイリアンの地球訪問を妨げている理由

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 宇宙にこれほど無数の星があるのなら、なぜ地球外生命体は一向に姿を見せないのか。長らく研究者を悩ませてきたこの問いに対し、ある宇宙生物学者が突きつけたのは、ロマンとは裏腹のあまりに残酷な答えだった。仮に高度な文明を持つ宇宙人がいたとしても、彼らはある「時間の呪い」に怯えて地球行きをためらっているのかもしれない、というのだ。

光速で旅する者を待つ「時間の呪い」

 この説を示したのは、ニューサウスウェールズ大学(シドニー)で科学コミュニケーションと宇宙生物学を専門とするキャロル・オリバー教授だ。鍵となるのは、アルベルト・アインシュタインの理論が導く「時間の遅れ」、すなわちタイムダイレーション(時間膨張)である。宇宙空間を高速で移動すればするほど、その移動者にとっての時間の進みは遅くなる。一見便利な性質にも思えるが、はるか遠くを旅する者には悲劇でしかない、と教授は説明する。

 光速に近い速度で地球を目指した宇宙人がいたとして、任務を終えて故郷の星へ戻ったとき、待っているのは見知らぬ世界だというのだ。教授によれば、出発時よりはるかに年老いた——場合によっては一世紀以上も時が進んだ惑星へ帰還することになる。かつて知っていた者たちはすでに全員が世を去り、墓の下にいる。彼らは故郷を失った「時間の追放者」となる、というのが教授の見立てである。

NASA飛行士の双子で実証された現象

 奇妙に聞こえるこの「時間の呪い」は、SFの空想ではない。実際に宇宙飛行士の身体で確かめられた、れっきとした物理現象だ。証拠として知られるのが、NASAの宇宙飛行士スコット・ケリー氏のケースである。彼は国際宇宙ステーション(ISS)に約1年間滞在し、地上に残った一卵性双生児の兄弟と比較された。教授によれば、軌道上で動き続けたケリー氏は地上の兄弟よりわずかに歳の取り方が遅く、ミリ秒単位で「若く」なって帰ってきたという。運動する物体ほど時間がゆっくり流れるという相対性理論の帰結が、双子という格好の条件で可視化された形だ。

 数ミリ秒の差なら家族喧嘩にもならない。だが宇宙人にとっては話の規模がまるで違う。地球に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリですら、距離は約40兆キロメートル。人類最速の探査機パーカー・ソーラー・プローブの最高速度(秒速約191キロメートル)をもってしても、たどり着くのに6650年かかる計算だ。常識的な寿命の範囲で地球へ来るには光速近くまで加速するしかなく、その代償として故郷では数百年が早送りされてしまう。

宇宙船を焼く放射線と、凶器と化す酸素

「時間の追放者」になる恐怖だけではない。教授は、旅そのものが死の罠だと付け加える。光速近くで突き進むと、宇宙空間に漂う無害なはずの水素原子が強烈な放射線へと姿を変える。その摩擦が生む凄まじい熱は、いかなる円盤型宇宙船であっても船体を削り取り、最終的には破壊してしまうという。

 仮に放射線地獄をくぐり抜け地球に降り立ったとしても難関は残る。地球の酸素豊富な大気は、約24億年前にシアノバクテリアと呼ばれる原始的な単細胞微生物が吐き出したものとされる。人類には理想的なこの環境も、別の生命には事情が違う。酸素は反応性が高く、宇宙人の身体には強い腐食作用を及ぼしかねない、と教授は指摘する。防護服を着れば済むのではという反論には、地球を訪れたとされる宇宙人の目撃談に宇宙服姿の描写が見当たらないという皮肉な事実を添えている。

それでも「いない」とは言い切れない

 ここまで聞くと宇宙人の来訪など絵空事に思えてくる。だが、生命存在の可能性そのものが否定されたわけではない。これまでに観測された太陽系外惑星は4700もの惑星系にまたがって6200個以上。私たちの銀河系だけでも1000億を超える星が瞬いており、どこかに生命が芽生えている確率は数学的に見て決して小さくない。

 つまり彼らは「いない」のではなく、「来られないだけ」なのかもしれない。光速の壁、時間の呪い、放射線、酸素という幾重もの障壁が彼我のあいだに横たわっているとすれば——夜空のどこかで、こちらと同じように「あの星には誰かいるのだろうか」と見上げる存在が、距離と物理に阻まれて沈黙しているだけなのだとしたら。宇宙人が地球に現れない理由は、むしろ彼らが実在することの傍証なのかもしれない。

参考:Daily Star、ほか

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