【戦慄】ペスト研究所の28歳研究者が急死、200人が隔離…シベリアで渦巻く”隠蔽”疑惑の真相

シベリアの都市イルクーツクで今、「ペスト」という言葉が人々を不安に陥れている。ペスト対策の最前線を担う研究所の若い検査助手が急死し、約200人の接触者が隔離されたのだ。
独立系メディアは肺ペストの疑いと当局の隠蔽を指摘し、当局は10月4日夜にこれを公式に否定した。情報が錯綜する中、何が発表され、何が未確認なのかを整理したい。
28歳の検査助手の死と「試験管を割った」説
亡くなったのは、「シベリア・極東イルクーツク対ペスト研究所」で検査助手を務めていたダリア・シピロワさん(28)。1934年に設立された同研究所は、ロシア・モンゴル国境での防疫訓練なども担う専門機関だ。
報道によれば、シピロワさんは9月29日に入院して人工呼吸器を装着されたが、その2日後に近郊シェレホフの地区病院で亡くなった。
感染経路をめぐっては2つの説が流れている。1つはロシア・モンゴル国境方面への調査遠征中に発病したという説。もう1つは、9月25日ごろ研究所で病原体入りの試験管を誤って割ったという説だ。地元独立メディア「リュージ・バイカラ(バイカルの人々)」は、本人が医療スタッフにそう話していたと報じている。
これに対し、米国在住のロシア人疫学者ミハイル・ファヴォロフ氏は、研究所の職員は防護服を着ているため試験管が割れても感染の可能性は非常に低いと指摘した。試験管の話そのものは荒唐無稽だとしつつも、当局の対応の不透明さを厳しく批判している。
封鎖報道と消えたSNS投稿
接触者は197人が特定され、189人が観察下に置かれた。ロシアの感染症対策トップ、アンナ・ポポワ主任国家衛生医はモスクワから約4200km離れた現地へ急行し、州ではマスク着用令が出たと報じられている。
独立系メディアは、市立第1・第3・第10病院や小児病院、産科病院が3週間の隔離に入ったと伝えた。出産中の女性の家族が、医師から理由はペストだと聞かされたとの証言もある。一方、地元のTelegramチャンネルは全病院が通常稼働中だとして、これを否定している。
不穏な動きも報じられた。近隣のバイカリスク市がシェレホフへの移動自粛を呼びかける投稿を2時間足らずで削除し、テレビ局REN-TVもペスト関連の投稿を消したという。接触者を運ぶ救急車に連邦保安庁(FSB)の部隊が同行していたとの報道や、抗生物質が売り切れたとの情報もあり、隠蔽を疑う声が上がっている。

「原因不明の肺炎」とする当局と、注視する米国務省
10月4日夜、ロシアの消費者権利・公衆衛生監督庁(ロスポトレブナドゾル)は、死亡者からペストは検出されず、死因は原因不明の肺炎だったと発表した。研究所での事故や安全違反もなかったとしている。
接触者約200人の検査で見つかったのはCOVID-19とライノウイルスが各2人のみで、危険な病原体はなかったという。地域の衛生疫学状況は「完全に安定」との立場だ。
ただ、隣のブリヤート共和国のツィデノフ首長は当初、女性がペストで死亡したとSNSに書き、後に「可能性がある」と修正した経緯がある。米国務省も報道を把握しているとして、CDCなどと連携して状況を注視し、ロシア側に迅速で透明な情報共有を求めた。
肺ペストは飛沫で人から人へ広がり、治療しなければほぼ致死的とされる。またシベリアや極東の野生げっ歯類には今もペストの自然巣が存在し、2016年にはアルタイ共和国で10歳の少年が感染した例もある。
当局の否定が真実なのか、それとも語られていない何かがあるのか。少なくとも、かつて黒死病として世界を震え上がらせた病原体は、今もシベリアの大地に息づいている。その最前線で菌と向き合ってきた一人の若い研究者の死の真相が、明らかになる日は来るのだろうか。
参考:Metro、Metro、Daily Mail、Above the Norm News、Meduza、RFE/RL
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